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個々音々 vol3 #Hold on to your life/HIMI

ドラムのサウンドが心地いい
この音楽に私なりの意味なんて必要ないかもしれないけど
ちょっとの偶然が私へのきっかけを与えてくれたことを
ここに記しておくね

忘れられない人がいた
忘れたつもりだったのに、そうとは言いきれない感情のまま日々がずっと続いていた
時々それに囚われて、それがどうしても苦しかった
今は噛み砕く事ができて理解し始められている感情、その理由
当時絡まったままの心の中はぐちゃぐちゃだった
何度言語化しようとしても、気持ちはそれに収まらず、心の中と離れたままだった

そんな日々が半年くらい続く中、ある曲に出会った
HIMIの「Hold on to your life」だった
初めて聴いた時
この曲、私の気持ちみたいだ
ただそう思った
何回もこの曲を再生して
もう進むはずのない、この関係のことを考えた
もうこれ以上は何もないって少しずつ、でも十分なくらいわかってきていた

その時、ちょうど見た映画が
「ケイコ目を澄ませて」だった
例のその忘れられない人がこの作品を観ていたのを知っていた

聾者のケイコがひたすらボクシングに打ち込む話
耳が聞こえないからこそ、一つの感覚に集中する事が
彼女にとって心地いいのだと感じ取れた
彼女は他の人に感じられない世界を知っている、そう思った
感情の機微に着目しているように感じる映像の連続は、まるで感情とそれが受け取られる余白みたいにスローな映像展開で、不思議な感覚だった
あの時間はずっと印象に残っている
そしてケイコの弟役の役者さんが、ゆったりしていて素敵な雰囲気を持っている方だな〜と呑気に思ってた

物語の後半である曲が流れた
HIMI の「Hold on  to your life」
その弟役がHIMI本人で、あの人を思ってずっと聴いていたその曲は劇中歌として使われていた
作品の内容とは違う理由で、涙が流れた
あの人の中にこの曲が留まらずとも、同じ音楽が流れている瞬間があった、一瞬だったとしても確かに、存在していた
それは私にとって大きな意味がある、小さな出来事だった

届くはずのない気持ちが思いがけず届いているみたいで
どこかで繋がっているから縋らなくても大丈夫だと、とやっと思えた

そして先日、9月最後の土日、りんご音楽祭に行った
1日目のいちばん最初、りんごステージ、HIMI TRIO
視界いっぱいの、自然の中
朝そのものみたいな音楽を聴いていた
Jazzのサウンド、自然の中で聴く心地いいサウンド
今思い出しても、穏やかな気持ちになれる
最後の曲は「Hold on to your life」だった
ここでこの曲を聴いていることに意味があるって感じた
その頃はもう、日常の中でその人のことを思い出さなくなっていた
HIMI TRIOのメンバーによって与えられていく音が心地よかった
深く息を吸って、一面に広がる朝の空を見上げた


この気持ちとはお別れだ


「縋り続けた思いの終り」をはっきりと感じた瞬間だった
私は素敵な曲と出会って、ある思いをようやく手放した
その過程で知らなかった思いを知った
息ができないほど泣いた日、街中であの人を探していた癖
うんざりするほど繰り返した、果てしないような喪失感の余白、しつこく消えない余韻
私は大きな何かを無くしたままでいた
自分のことがいちばんわからなかった
苦しいことを認めること、悲しいことを手放さないこと
それが全部の思いを感じ取った瞬間があったから今ここにいるんだと思えた

その先の地続きみたいな日々の中で、似た孤独を持つ星とであう
そんな夢みたいなことが本当にあったりする
孤独はすごく個人的な苦しみだからこそ、分かり合える事がある


Also I just feel to love of my Music Life




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