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「マンション」の基礎知識(その2)

 「『マンション』の基礎知識(その1)」では、「マンション」の歴史をお話しました。その中で、国がマンション管理が適正に行われていないことへの危機感から「マン適法」という法律を作ったことで「マンション」という言葉が法律用語になった!とお話しました。
 今回は、何故?マンション管理が適正に行われないのか?考えて見たいと思います。でもその前に・・・

用語解説におつきあいください!(笑)

 これを話しておかないと・・・話が前に進みにくいので、少しだけお付き合いください。

 ものすごく「ざっくばらん」ですが・・・「マンション」とは、1つの建物の中に独立して複数に区分けされた(例:101号室みたいな・・・)部屋があって、その部屋の1つ以上が住宅になっている & 区分された部屋に各々「所有権」という権利が付いている建物のことをつきます。

 そして「マンション」内の「所有権」がある部分を「ら(=ひとり占めする誰か)のために『所権』が設定される建物の一部分」ということで「専有部分」と言います。「マンション」の各戸を指すとイメージしてください。

 また「マンション」内の「専有部分」以外の部分を「共用部分」と言います。「皆がに(一緒に)使する部分」という意味です。
 「『共用部分』は風のあたる部分」とイメージすると分かりやすかも?(「共用部分」=各戸に行くための廊下・階段・エレベーター、バルコニー、各戸の窓サッシ・玄関扉等 + 建物自体の屋根・外壁・柱・壁・床・天井等)

 なお「建物の区分所有等に関する法律」(通称「区分所有法」)では、「専有部分」を「構造上+利用上の独立性がある建物の各部分」と定義しています。(ムズイ!)
 対して「共用部分」は・・・「『専有部分』以外の部分」と、サラッと定義されています。つまり・・・「マンション」(建物)は、「専有部分」と「共用部分」に分類され、それ以外の部分はない!ということです。

 ちなみに「所有権」とは・・・(これまた「ざっくばらん」に!(笑))
 3つ(=「使用」「収益」「売買」)の権利が全て揃っている状態と理解してください。「マンション」に例えると・・・以下のような感じかな?
  ・ 「使用」 ➡ 自身がマンションに住む権利
  ・ 「収益」 ➡ 誰かにマンションを賃貸して家賃収入を得る権利
  ・ 「売買」 ➡ 誰かにマンションを売却する権利

 最後に・・・マンションの専有部分の所有権を「区分所有権」(1つの建物を区分して所有している権利)と言い、区分所有権を有する人を「区分所有者」と言います。(ふ~終わった!(笑))

「専有部分」の維持管理は誰がするの?

 これって、答えは明確ですよね。(笑)
 「所有権」には3つ権利(「使用」「収益」「売買」)があるとお話しました。原則的に・・・各住戸(専有部分)は、各オーナー(区分所有者)が(煮て食おうが、焼いて食おうが)自由!ということです。
 維持管理も・・・区分所有者が(自身の都合に合わせて)勝手にすれば良い!ということになります。

じゃあ・・・「共用部分」の管理は?

 「共用部分」は、皆で共に(一緒に)用いる部分のことでした。言い換えれば、各戸のオーナー全員で所有していることにもなります。
 共用部分の維持管理も・・・各戸オーナーが(自身の都合に合わせて)勝手にすれば良い!のだけれど・・・そこに費やした費用や労力の負担はどうするの?問題が生じます。

 法律的には、負担した人が他のオーナー(区分所有者)に請求できることになっていますが、費用請求された区分所有者が「同意できない」とか「私には関係ない」とか・・・支払いを拒否することもあり得ると思います。

「マンション住民」十人十色問題

 マンションの住民って、(収益マンションやリゾートマンション等は例外だけど・・・)そのマンションをたまたま買ったオーナー(区分所有者)が多くを占めます。それでも、買った時は・・・基本的に知り合いはいませんし、お互いにどこの誰かも分からない。
 結婚してマンション買った人もいれば、定年後のセカンドライフを送るために買った人もいる。収入も家族構成もその考え方も千差万別です。たまたま同じマンションを買って住んでいるだけです。

 なので、同じマンションに住んでいても・・・(より費用をかけて)よりきれいで快適なマンションを望む区分所有者もいれば、できる限り費用をかけないでマンションションライフを送りたい!と望む区分所有者もおられると思います。人によって「利害」が異なる!ということです。

 なお「利害」は、ライフスタイルだけでなく部屋の位置によっても生じることがあります。
 例えば「屋上から雨漏りしたから」と最上階の区分所有者が1階の区分所有者に修繕費用請求しても1階の方は「そんなん知らんわ!うちは関係ない!」とか・・・「もっと安価な修繕で良かったのに勝手に修繕して!」と取り合ってくれないかもしれません。
 エレベータ―の管理も・・・1階の方は「エレベーターは使わないから費用は支払いません」と言ってくるかもしれません。

共用部分の維持管理は難しい

 そうなると・・・(面倒くさい)共用部分の維持管理は、誰も行おうとしなくなります。結果、マンションは荒れ果てて行きます。

 だから、区分所有者が合意形成できる仕組みやルールが必要だ!ということから「区分所有法」が作られ、「区分所有法だけでは、マンションの適正な管理を行なうことが難しい」と「マン適法」作られた!ということです。
 でも・・・ナカナカ上手く行ってないマンションが多いんだなあ。

 次回は、この辺りをもう少し掘り下げてみたいと思います。  (つづく)

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