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アルゴリズミック・アート 「See Me, Hear Me / 麦わら帽子の自画像」作品概要

作品はバイナリ(0, 1)をアート素材にして、絵画からアルゴリズムで音楽を取り出す実験アートです(使用言語 LiveCode)。

これは2020年以降出来るだけ外出を控えるようになった、制作環境から発想しています。作品はテーマとする題材の取得から、制作完了までをコンピュータで完結させ、実空間の物質に頼らない構築をしています。

始めにテーマとする絵画を、インターネットで探します。ここでは1887年ヴィンセント・ヴァン・ゴッホが描いた「麦わら帽子の自画像」を選びました。オリジナル絵画はニューヨーク・メトロポリタン美術館の所蔵で、画像はパブリックドメインです。

ヴァン・ゴッホは、彼の20点以上の自画像の中でもこの「麦わら帽子の自画像」に、新印象派の技法と色彩理論を意識的に取り込み、通常の視覚を越える感覚を探っているように見えます。トップのオリジナル画像をご覧ください。

画像をクリックするとYouTubeビデオが開きます画像1


ヴァン・ゴッホの筆触分割が顕著な「麦わら帽子の自画像」を超拡大した画像から、視覚ではない情報を取り出します。

このプロジェクトのため作者が開発したアプリは、視覚データをバイナリで採取して音階に変換して、その工程のビデオ・キャプチャーを作品とします。

アプリは画像フレームを32x18グリッドに分割して右目、左目、左耳にかけて読み取り、2.8秒ごとにグリッドから、色彩データを8コマづつランダムに採取して音階に変換、そのデータをMIDIピアノで演奏します。

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全てのメディアがバイナリで記録できるようになった今、出力形式さえ整えればデータの互換が可能です。現代アートは一つの感覚の境界を越えた、新しい世界を扱い始めました。

新しいアートは実空間から離れて、触れることができないバイナリーを素材とします。



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