☆オイラの好きな名曲名演シリーズ17 The Girl From Ipanema /Peter Fessler

究極のイパネマ、と言ってもいいだろう。大好きな歌手ピーター・フェスラーの名演だ。ちょっと他では聴けないすごいシンコーぺーションでスキャットをする。インド音楽でも学習しているのではないか?というようなすごさだ。初めてこの人のHere's That Rainy Dayを聴いた時はそのスキャットの速さとセンスのよさに本当に感動した。この領域では、ジョン・ヘンドリックス、アル・ジャロウ、ボビー・マクファーリンという先達がいる。(他にもいるのかもしれないが)基本的に人間離れした名人芸で、定量的なジャンルとしてのデータがないので、この3者と比較してみたい。前掲の3者は、フレーズの入りが鋭いのに対して、ピーター・フェスラーはフレーズの入りも鋭いしフレーズの終わりの切り上げも鋭い。いわゆるアーティキュレーションがすごいのだ。また、前掲の3者は古典ジャズの7th上でのホーンアドリブの、声への応用を基軸にしている。アドリブにおけるバップ的身体的強度の妙が魅力なのだ。それに対して、ピーター・フェスラーは和声感がすごい!どんなに高速で複雑なリズムでスキャットをしようとも和声感が持続し、イタリア歌曲のような感情的展開をするのである。そしてなおかつこの超絶高速スキャットをしながらのギター演奏もすごい!モントルー・ジャズ・フェスティバルにおけるエリス・ヘジーナとエルメートのイパネマもすごいが、それと並ぶ名演である。またアラジンのA Whole New Worldのドイツ語版Ein Traum wird wahrも歌っていたりとオールマイティーな歌手のようだ。国籍を云々するわけでないのだが、こういうバカテク系はアメリカやブラジルから登場することが多い。その点ピーター・フェスラーはドイツ人というのも興味深い。リズム感と和声感のバランスのよさがなんとなくドイツ的だとも思えるのである。




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