映画「マルクス・エンゲルス」を観る。

映画『マルクス・エンゲルス』を観る。「共産党宣言」を書く少し前ぐらい、マルクスがまだ20代後半、パリやブリュッセルで活動したいた頃を描いた映画だ。まぁマルクスの映画ということでディープに描いたらそれはそれで大変だからどういう風に仕上がってるのだろう、と思ったのだが、しじみのすまし汁ぐらいあっさりした映画だった。これがマルクスとエンゲルスでなければ、2人の若者が苦悩して活躍するというだけのさわやか青春感動地味映画である。このさわやかさとあっさりさはなんなのかと思ったのだが、この映画の制作国を見ると、ドイツとフランスとベルギーなのだ。なるほど、これは思想に比重はなくて「おらが国の有名人」的な映画なのだなぁと少し納得した。日本で言うと徳川家康と松尾芭蕉とかの映画を各都道府県共同でつくる感じだ。
ただ監督のラウル・ペックさんというのは全然知らない人だったのだが、ハイチの映画監督で、他の作品がコンゴ民主共和国の独立を描いた『ルムンバの叫び』とかアメリカ公民権運動を題材にした『私はあなたのニグロではない』とかけっこう骨太な闘う系社会派作品をつくっている人らしい。マルクスとエンゲルスを作品の題材に選ぶというのもなるほどとこれまた納得がいった。
要約すると「おらが国の有名人」的なあっさりさとけっこうハード目な監督の視点のブレンドで絶妙な軽さの味に仕上がっているナイス映画だと思う。
細かい内容的にはプルードンとヴァイトリングとの確執と微妙なすれ違いに関してはしっかりと描かれていて、わかりやすくとても勉強になった。
こういうのを観るとメイナード・ケインズ大好きのオイラとしてはケインズのこういう映画も観てみたいなぁと思うし、レヴィ=ストロースとかもあったら絶対観てみたいなぁと思う。
なんというか、期待し過ぎてしまうのか、よく知ってるからなのか、音楽系の伝記系映画ってけっこハズレが多くてガッカリしてしまう。
それに比べるとハワード・ヒューズの『アビエイター』とかマクドナルドの創業者のレイ・クロックの『ファウンダー』とか実業家系はけっこう面白くて感動したのが多いので、これからも色々な伝記系映画は観ていきたいと思う。

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