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【書評】フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

<本の概要>

フードテックを切り口に、「食とは何か」について筆者の考え方をまとめられた本。2020年7月発行ということで若干古いが、まずは前半部分でキッチンOSや代替プロテインなどフードテック分野の最新事例について紹介されている。また、後半では、コロナでフード業界がどのように変化したかを言及した上で、「そもそも食分野に求められる役割は何か」「フードテックはどのように活用されるべきか」についての考察が行われている。

<この本を読んだきっかけ>

読み物として面白そうだったから。ESGの観点から食の見直しについては色々な媒体でも言及されているので、表面的な知識は少しだけあったものの、業界の全体感については漠然としかイメージがなかったため、改めて情報をインプットしてみたいと思った。

<読書後の感想>

「今は体験価値の時代。単に効率化を求めるだけではダメで、食や料理を通して人生が幸福になることを目指すことが必要だ」というのが筆者が一番伝えたいメッセージのように感じた。個人的には概ね賛同できる内容であり、人生の中における食の意味みたいなものを考えるきっかけにもなったので読んでよかったと思う。

気になったのは料理をするという行為と、食事をするという行為は別だよねということ。著書内ではキッチンOSについて「料理を楽しみたいというニーズは強い。効率を上げる機器等はもう既に飽和しており、作ることの楽しみを得られるよう、完全な自動化ではなく人間が介在する部分も重要」というような趣旨の記載があった。

あくまで個人的な意見だが、正直料理をするのは面倒なので全部自動でやっってくれるに越したことはないと思っている。美味しいものを食べること自体は人生の幸福だと思っているが、料理は面倒な作業にすぎないというのが私の考え方だ。なので、一切手をかけずとも勝手に料理ができることが理想のキッチンOSなのだが、そこは考え方が異なっているように感じた。

<本を読んでの学び>

①代替プロテインにもいくつか種類があること。特に注目されているのは植物性のプロテイン(植物性の原材料から肉に近い味・体験のできる素材を開発する)と、培養肉(牛や豚などの細胞を培養して肉を製造する)の2つである。前者はインポッシブルフーズやビヨンドミートが取り組んでおり、後者は3500万円のハンバーガーなどが有名だが、それぞれ全く違うアプローチであることを知ったので、別軸で今後も注目していきたい。

②特に家電類については「ネットにつながっていない時点でオワコン」という時代も近いと思うので、キッチン家電もハードの優劣だけで差別化が図れる世の中ではなくなりつつあることを再認識した。最もアナログだった「家のキッチン」すらデジタル化されていることで、業界自体が大きな転換期であることを知った。

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