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【書評】ワークマンは 商品を変えずに売り方を変えただけで なぜ2倍売れたのか

<本の概要>

飛ぶ鳥を落とす勢いで急成長を遂げ、アパレル業界に旋風を巻き起こしているワークマンの秘密を探った本。著者は『日経トレンディ』の記者である酒井大輔氏。ワークマン幹部陣への取材を通して得られた「リアルな情報」をもとに、躍進の裏にある要因や本質的な強みに関して語られている。

<この本を読んだきっかけ>

つい先月、初めてワークマンで買い物をしたのだが、あまりのコスパの良さに度肝を抜かれた。わずか数千円で購入した登山用のジャケットと靴はすでに愛用品となり、私も「ワークマンファン」の一員となってしまった。そんなわけで、この会社の実態をもっと知りたいと思い本書を手に取った。

<本を読んでの気づき>

①自分の頭で考えるということ 〜Excelスキルを侮るなかれ〜

本書で書かれているワークマン躍進の要因の中で、大きなポイントとして語られているのは以下4点だ。

1.優秀なリーダー(土屋哲夫氏)の存在
2.圧倒的なプロダクト力
3.女性向けダーゲティングの成功
4.データ経営の導入

中でも個人的に印象に残ったのは「4.データ経営の導入」である。

以前はスタッフの肌間を頼りにアナログな経営を行なっていたワークマンではデータが一切なく、正確な在庫数すら全くわからない状態だった。そんな中、土屋哲夫氏の参画により会社が大きな変革を遂げ、データに基づいた経営を行うようになった。外部ツールも導入しながら、今では発注作業すらボタン1つで完結するようにシステムが整い、季節要因や天候なども考慮して最適な発注数を割り出してくれるそうだ。

興味深いのは、大規模なAIを活用したデータではなく、Excelをメインで活用してデータ分析等を行なっていること。その理由は「AIを使うと、自分で考えなくなるから」。そのために社内で定期的にExcel講座を開き、データ分析力を部長職の必須条件にした。

スーパーでも、おむつとビールが売れていたからと言って、ビール売り場の横におむとなんか置かれちゃ困る(数字だけを見るAIは、それを合理的と判断するかもしれないが)。どうやったら売上につながるのかは、(人間が頭で考えて)実験するしかない。  ※本書70ページより

何も本格的なデータサイエンティストである必要はない。Excelを使って数字と睨めっこしながら自分の頭で考えるだけでも十分で、むしろその力こそが必要なのだと説かれている。

②固定費削減の重要性

本書によると、ワークマン商品の原価率は平均64%。残りの粗利のうち40%はFC加盟店の分配金になる。つまり、本部としての取り分は売上の20%程度。そこから諸々と経費等が引かれるわけだが、それでも10%以上の営業利益が残っている。この要因の1つとして、売上に占める家賃の割合を3%以内に収めるという目標があるそうだ。

勿論、家賃の安い物件を見つけてくる交渉力や、狭い店舗でも売上を叩き出す空間設計の素晴らしさは言うまでもないが、それ以前にこの目標設定自体が素晴らしいことだと個人的にも感じた。

利益を上げるためには、売上を伸ばすよりも経費を削減した方が早いとは良く言ったものだ。これはおそらく一般的な家計でも当てはまるだろう。散財ばかりしてそれを副業で補填しようとしている今の生活が少し恥ずかしくなってしまった。

<読書後のto do>

①週に30分、Excelの勉強をする。前に買ったスヌーピーのExcelスキルアップ本が本棚で眠ったままだ。短時間でもいいので、まずは関数を勉強してExcelで分析等をするにあたっての土台を作ろう。

②来月のクレジットカード利用を5万円以内に抑える。散財は生活費を圧縮する最大の要因だ。無理に副業等を増やすのではなく、まずは経費カットから始めよう。

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