落合 恵理 / ochiai eri
卒業式が間近に迫る春休みの校内は閑散としていた。春を待ち遠しく思っているかのような気配がする。
京都市内から少し外れた場所にある京都橘大学。私が高校生の頃、日本史を学ぶために受験しようか迷っていた大学だ。まさか大人になって足を運ぶことになるとは思わなかった。その京都橘大学で4年間書道を専攻していた落合恵理。この日は彼女にお願いして友人の結婚祝いのためのメッセージを書いてもらう予定だった。真心を込めて真剣に向き合っても字に自信がない私にとっては心強い味方のような気がした。