7月の感染拡大について




A. 日本の7月の陽性数急拡大はオリンピックのせいではない

世界の7月31日から8月6日までの新規陽性数は438万7902件で、2021年の累計感染数は1億1788万2047件になった。2020年からの累計陽性数は2億239万7034件となり、2億件を超えた。今年の陽性数は昨年度のすでに39.5%増となっている。

今週の新規陽性数は先週よりも7.2%増であった。これで、7週連続の増加である。増加率は先週より下がった。先週は増加率(9.4%増)が先々週(8.3%増)を上回ったものの、今週の増加率は先々週を下回った。まだまだ増加しているが、増加の勢いがし腰づつ弱まっているようだ


A1. 南米で感染が縮小し、カリブ海、東アジアで拡大している

下のグラフは2021年の累計陽性数ランキング上位50ヵ国の累計陽性数である。( )内の数字が順位である。↑は順位が上がったこと、↓は下がったことを示す。⬆︎⬇︎は3位以上の上下を示す。

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トップ10ではロシアとコロンビア、イランとインドネシアの順位が入れ関わった。上位50ヵ国ではロシアとイランの他に、マレーシア、タイ、パキスタン、ベルギー、アラブ首長国連邦、チュニジア、イスラエル、カザフスタン、キューバ、ギリシャ、スリランカが順位を上げた。12ヵ国中7ヵ国がアジアである。また、マレーシア、タイ、チュニジア、カザフスタン、キューバは先週も順位を上げている。

一方、コロンビアとインドネシアの他にも、ペルー、オランダ、チリ、スウェーデン、ポルトガル、ハンガリー、ヨルダン、ルーマニア、セルビア、レバノン、ウルグアイで順位を下げている。南米と東欧の国で順位を下げたところが多い

下のグラフは2021年の累計陽性数ランキング上位50ヵ国の7月31日から8月6日の新規陽性数である。

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アメリカの新規陽性数はインドやブラジルなどの3倍になっている。上位10ヵ国の中では、アルゼンチンとコロンビアで今週の新規陽性数が比較的低くなっている。100以下では、スペイン、メキシコ、南アフリカ、フィリピン、マレーシア、イラク、バングラデシュ、日本、タイ、カザフスタン、キューバが比較的多くなっている。スペインと南アフリカを除くと、アジアと中米ばかりである。

下のグラフは2021年の累計陽性数ランキング上位50ヵ国の陽性数増減連続週数である。

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アメリカ、フランス、イラン、メキシコ、マレーシア、日本、タイ、パキスタン、ベルギー、イスラエル、カザフスタン、キューバ、レバノンは6週以上連続で新規陽性数が上昇している。順位を上げている国ばかりなので、要注意である。一方、コロンビア、チリ、ウルグアイ、パラグアイは6週以上連続で新規陽性数が減少している。全て南米である。同じ南米のブラジル、アルゼンチン、ボリビアも複数週連続で新規陽性数を減らしている。

以上のことから、南米では全体的に新規陽性数を下げている、つまり感染が収まりつつあると言える。一方、日本、タイ、マレーシア、フィリピンなどのアジアでは感染拡大になっている。順位が50位以下なので、このグラフにはで出ていないが、ベトナム(6週連続増加中)、フィジー(11週連続増加中)、ラオス(6週連続増加中)、オーストラリア(11週連続増加中)など、アジア太平洋地域で感染拡大中である。インドネシアとシンガポールはここ2週間、新規陽性数が減少している。インドネシアは8週間連続で新規陽性数が増加してきたがようやくストップし、シンガポールは上昇期間は短いものの、その期間の新規陽性数の増加率は179.5%増、330.2%増と非常に高かった。

上にあげたアジアの国のうち、日本とフィリピンでは増加率も上がっている、オーストラリアでは増加率が横ばい、タイは増加率は減少しているもの、減少の勢いが小さい。フィリピン、ラオス、ベトナム、フィジではでは増加率がかなり減少しているので、来週か再来週には新規陽性数が減少に転じると推測される。

下のグラフは2021年の累計陽性数ランキング上位50ヵ国のワクチン接種回数である

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陽性数が多いということは、それだけ感染の可能性が高いということを意味する。実際どの国でも、ワクチン接種は感染の可能性の高い医療従事者から実施されている。しかし、上位50カ国では接種回数が少ない国も多い。イスラエルなどのように、2、3ヶ月前は大量に接種していたが、陽性数が減少するにつれ、接種回数を減らしていったところが多くを占める。必ずしも経済格差というわけではない。


A2. 7月は世界各地で感染拡大が起こっていた。

日本の7月31日から8月6日までの新規陽性数は8万2972件で、2021年の累計感染数は75万1295件になった。新規陽性数は6週連続増加中である。先週の87.4%増とほぼ倍増で、日本では過去これだけ急増したことはない。先週の68.8%増が過去最高で、今週はそれを上回った。陽性数の少ないところでは、これくらいの増加はたびたびあるが、累計陽性数が10万を超える国ではそう多くない。インドやイギリスでもせいぜい60%増程度で、85%超えは過去にない。

イスラエル6月25日と7月2日、フィンランドが7月2日、デンマーク、スロベニアが7月9日に、オーストリアで7月16日に、フランス、イタリアで7月23日に、アゼルバイジャン、エチオピア、ヨルダン、モロッコ、ルーマニア、トルコが7月30日に、ボスニアヘルツェゴビナ、ブルガリアが8月6日、リビア、オランダ、スイスが7月9日と16日、ミャンマーが6月19日から4週連続、ナイジェリアが7月9日、23日、30日、スペインが7月2日と9日、とアジア、やや北側のアフリカ、西欧で7月に入ってから頻発している。ベトナムは昨年の陽性数がわずかに1,474人と非常に少なかったが、今年に入って、4月と7月の二回数週間にわたって85%増が続き、8月6日時点で1新規陽性数が19万件を超えた。来週中に20万件は確実に超えるだろうが、陽性数増加はひとまず収まりつつある。

6月以前に陽性数が増加率が85%を超えたところは4月のベトナムの他に、中国が4月9日、グアテマラが4月9日、ペルーが1月15日、チュニジアが4月2日とアメリカの3月26日しかない。ペルーはラムダ株由来の地であり。ここで85%超えがあったからと言って、7月の流行がラムダ株かどうかはまだわからない。他のラムダ株流行地域であるエクアドル、アルゼンチン、チリ、メキシコでも最大増加率は50%ほどでしかなく、そこまで高くはない。ペルーは時期も早いので、7月の世界各地の感染急拡大とはあまり関係ないと思われる。

先週ラムダ株について取り上げたのは、忽那氏のレポート(https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20210801-00249724)が発表されたからであるが、ナショナルジオグラフィックでも同じようなニュースを取り上げていた。このニュースは7月16日付(https://news.yahoo.co.jp/articles/c4cd2d73e3c54435e231f58bde0966fd4ac123ca?page=1)
で、忽那氏のレポートもおそらくこの記事に触発されてのものだろう。しかし7月16日付なので、南米の感染縮小までは予測できなかったようだ。また、ラテンアメリカと南米、中米、カリブ海を一緒に扱っており、大雑把すぎる。例えば、「ワクチン接種を完全に終えたの は10人に1人だけだ。ホンジュラスやグアテマラなどでは、接種完了率は1%にも満たな い」とあるが、世界のワクチン完了数がやっと15%を超えた中、バミューダ66%、ウルグアイ65%、チリは65%、アルーバは62%とひときわ高い国も多い。

ラムダ株の話はおそらく日本の7月の完全急拡大の原因を誤魔化そうという意図が見える。元々メディアの多くは東京オリンピックを強行したから、感染拡大につながったというシナリオを考えていたようだが、実際オリンピック関係での感染者はNHKによれば430人であるという(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210808/k10013189451000.html)。この時期の日本の陽性数は18万3969件で400倍以上になる。東京だけを見ても、陽性数は6万6719件で150倍以上になる。いくら感染力が強いと言っても、これだけ広めるのはちょっと不可能である。そこで、ラムダ株を取り上げたのだろう。

A3. 新規陽性数は北アメリカで急増

下のグラフは7月31日から8月6日までの新規陽性数上位50ヵ国である。( )内の数字は2021年累計陽性数の順位である。

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一位のアメリカは先週よりも38.9%増の75万6873件の新規陽性数を出した。これで7週連続の増加である。インドは2週続けての微増でまた2位に上がってしまった。インドネシアは先週に比べ18.8%の大幅減となった。インドネシアは3週連続減少中である。

グラフには2021年累計陽性数50位以下の国も顔を出しているが、全て上昇記号↑または⬆︎がついている。


バージン諸島、カメルーン、中央アフリカ、ニューカレドニア、タンザニアで新規陽性数が0件になった。バージン諸島は6月19日の週から始まった一連の感染の波が終了した感じである。来週、再来週あたりはまたゼロでなくなる可能性もある、それ以降あ再び0が続くと推測される。カメルーンとタンザニアは新規陽性数を何らかの理由で報告していないだけであろう。

一方、フォークランド諸島とリベリアで新規陽性数が0でなくなった。フォークランド諸島は14週続いた新規陽性数0が終わってしまった。リベリアは先週の分んも含んでいると思われるが、7月以降はコンスタントに減少傾向である。

これで新規陽性数0の国地域は32となった。このうち13が2020年度から0であり、3国が2021年が0である。

世界の人口100万人あたりの1日平均の陽性数は79.6件で、前週より4.1件増加した。今週は79ヵ国でこの数字が100以上になっている。そのうち6ヵ国で1000以上となっている。下のグラフは、人口100万人あたりの1日平均の陽性数の上位50カ国である。国名の横に2021年累計陽性数順位100位以下の国がランクされている。サンバルテルミー、グアダルーペ、マルティニクは全てカリブ海の島国で、ワクチン接種がまだ始まっていない。4位の仏領ポリネシアと6位のフィジーは太平洋の島国である。5位のマン島はイギリスのすぐ西にある島である。

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B. 南米でのラムダ株は収束に向かっている

世界の7月31日から8月6日までの死者数は6万5999人で、2021年の累計感染数は234万6410人になった。死者数は5週連続増加中で、先週の4.1%増である。次のグラフは2021年の死者数上位50ヵ国である。( )内の数字は累計陽性数での順位である。

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ペルーとメキシコ、インドネシアとコロンビアは順位が入れ替わった。メキシコとインドネシアに加えて、フィリピン、バングラデシュ、マレーシア、ミャンマー、イラク、グアテマラ、タイの順位が上がった。タイ、グアテマラ、ミャンマー、マレーシアは陽性数の順位も上げている。中米が二つ、アジアが7つとなっている。

一方、ペルーとコロンビアに加え、チリ、パキスタン、エジプト、ボリビア、ギリシャ、エクアドル、オランダ、レバノン、ヨルダン、ウルグアイ、ベルギー、ボスニアヘルツェゴビナで順位を下げた。スウェーデンは50位以下になった。南米は死者数を確実に減らしている。

B1. ペルーでは死者数が激減している

次のグラフは7月31日から8月6日までの死者数の上位50ヵ国である。

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インドネシアはブラジルの倍近い死者数があるが、今週は先週よりは新規陽性数が少なくなった。先週の「死者数の増加率は減少しており、また、新規陽性数は減少を開始しているので、2、3週間後には死者数も減少に転じる」という推測より少し早い。今週の増加率の減少ペースが大きいので、いくつかのケースが発表されていない可能性もある。来週は今週より少し上昇するが、2週合わせた平均では、先週より減少するという形になるであろう。

ブラジルは9週連続で死者数を減らしている。減少率は毎週10%程度と大きい。ロシアは微増であるがこれで9週連続の増加である。インドは先週の予想通り死者数が減った。2週間前まで、9週連続で減少させていたが、減少ペースが小さくなりつつあったので、今後しばらくは減ったり増えたりが続くと思われる。アメリカもまた死者数を増やした。アメリカは新規陽性数が7週連続上昇中なので、死者数もこれから上昇傾向になるだろう。

ペルーについて「今週の死者数は先週より80%減少させ、ランク外となったが、おそらく報告が遅れているだけで、来週は結構な数になるのではないか。しかし、全体的にはペルーの死者数は減少傾向である」と書いたが前半部分は外れたが、後半部分は当たった。ラムダ株の感染は収束に向かっている、とは言えるが、まだまだ陽性数は多いので、今後ぶり返すことがあるかもしれない。

日本の7月24日から30日までの死者数は67人で、2021年の累計感染数は1万1780人になった。死者数は先週と同じである。先週までは死者数は10週連続減少中である。先週「新規陽性数増加中なので、先週「来週にも死者数が増える可能性がある」と書いたが、そうならなかった。良いことではあるが、油断は禁物である」と書いたが、増えはしなかったものの、減りもしなかった。来週は上昇する可能性が高い。


B2. 久しぶりの死者

今週はバーレーン、マダガスカル、カタール、カーボベルデ、ジブチ、セーシェル、コンゴ、アンドラ、シエラレオネ、北キプロス、英領バージン諸島で死者数が0になった。一方、サンバルテルミー、フェロー諸島、モーリシャス、サンマルタン、ジブラルタル、ニジェール、コソボ、マン島、チャネル諸島、キュラソー、ノルウェー、チェコで新たな死者があった。

マン島では17週間ぶり、ジブラルタルは19週間ぶり、チャネル諸島は22週間ぶり、フェロー諸島は29週間ぶりに死者が出た。何もヨーロッパにあるイギリスまたはオランダの海外領土である。何も7月に過去最大級の感染の波があったところである。波は7月16日または23日にピークを迎えており、今は減少傾向である。もう少し死者数が増えるであろうがそれほど多くはないと予想される。

サンバルテルミーでは今年初めて、史上最初めての新型コロナによる死者を出した。ここは波が7月に始まったばかりで、ピークはまだきていない。

その結果、2021年の死者数0人の国地域が16、2020年から死者数0の国が15となった。また死者数0を2週以上継続している国は31ある。

B3. 中米カリブ海で死者が増えている

世界の人口100万人あたりの1日平均の死者数は1.20人で、前週より0.01人増加した。今週は48ヵ国でこの数字が2人以上になっている。そのうち2ヵ国で10以上となっている。上位50ヵ国は次のグラフの通りである。

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先週1位のバージン諸島の今週の死者数は0人であったため、この数字は0人なったので、ランク外へ。代わりに1位となったサンバルテルミーは今週の死者数は1人である。人口が少ないために起こる現象である。バージン諸島は7月の感染が収まりつつあるが、サンバルテルミーはこれから、という感じなので、しばらくは上位にランクしそうである。

2位から5位は何もこの数字を減らしている。キューバ、マルティニクなどラテンアメリカ諸国が目立つが、南米は減少し、中米カリブ海は上昇している。リストには名前だけで順位の書かれていない国が多い。これは陽性数が少ないために累計陽性数の順位が100位以下になるためである。

C. 陽性数が減少傾向の時、致死率は上がる。

世界の8月6日の致死率は1.99%で先週より0.02ポイント下がった。これで6週連続の減少である。次のグラフは致死率上位50ヵ国である。ペルー以外のラムダ株発生国は出てこない。致死率はウイルスの種類よりもその国の医療施設の充実度によるところが大きい。従って、いわゆる後進国が多い。実際先進国でこのカテゴリーにランクインしているのは、台湾、ロシアを含めた東欧諸国、ドイツだけである。

ラムダ株の発祥の地であるペルーは8.71%と相変わらず高く世界第4位である。1位のバヌアツは3人新型コロナに感染して、一人亡くなったので致死率が33%になっているので、ペルーは実質3位である。ペルーは先週の8.67%から今週は8.71%と0.04ポイント増えた。2020年からの累計では9.27%となる。従って、SNS上ではラムダ株は危険であるという噂が出回っている。しかし、ペルーの今年の致死率は昨年よりは0.5ポイントほど下がっている。また、ペルーでは死者数も新規陽性数も激減している。従って、この噂は、数字だけを見て統計を動的に捉えていないものの流した、根も葉もないデマである。

死者数が減るのに致死率が増えるのはおかしいと思う人もいるかもしれないが、致死率は死者数の陽性数に対する割合なので、死者数が減っても、陽性数がそれ以上の割合で減少すれば、致死率が上がる事になる。

新規陽性数や毎週の死者数 c(t) は、週数 t を独立変数とする関数

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で近似できる。ρ, n, k, C は定数で、流行する国や株によって変わるパラメータである。例えば、ρ=1, n=3, k=0.5, C=0 の時のグラフが下のようになる。

model-単独

これは発生した後6週間でピークを迎える陽性数の波のモデルである。

死者数は、発生日とピークが陽性数よりも数週間遅れるだけで、波の形は陽性数のそれとほぼ同じになる。従って、死者数のモデルは、陽性数モデルのパラメータのうち ρ を m にかえ、起点をずらせば良いので、次の関数

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で近似される。h が死者数の陽性数に対する遅れを表すパラメータで h=4 の時が多い。下の図が陽性数のモデルと死者数のモデルを重ねたものになる。

model-単独2

このグラフで致死率は陽性数の緑の折れ線グラフと、死者数の青の棒グラフのギャップとして表される。ギャップが大きい方が致死率は小さくなる、棒グラフが折れ線グラフと交わって突き抜けていれば致死率は高くなる。

このグラフでは週数が少ないうちはがギャップが大きいので致死率は小さいが、週数が増えるにつれ、ギャップが小さくなり、ある地点からは棒グラフと折れ線グラフが交差する。従って、致死率は一つの波の中では増えていくものである。しかし、致死率は累計死者数の累計陽性数に対する比でなので、その値は時間が経つにつれ(t の値が大きくなるにつれ)一定の値、m/ρ に近づいていく。この極限が致死率である。実際の陽性数死者数はこのような綺麗な関数にはならないので、致死率は上下を繰り返すが、長い目で見れば一定の値に近づく。

ペルーでは致死率が上がっている。これは感染がおさまりつつある証拠でもある。しかし、ペルーの致死率は他国と比べ著しく高い。新型コロナの致死率ではなくペルーの医療体制を表しているとも言える。

D. ワクチン接種完了者が感染を広める

ワクチン接種数はアメリカ時間の毎週土曜日午後5時頃、Github の国別サイトから、それぞれの表の一番下の数字を機械的に拾って作成している。多くの国では土曜日に金曜日の数字を報告するが、たまに、木曜日や月曜日の数字を出していると国地域もあるので、純粋に金曜日の数字ではない。しかし、その時に判明した最新の数字ではある。次の週に、前週の金曜日の数値を出しているところも多いが、特に修正はせず、常に土曜日の5時頃の一番下の値を拾っている。

しかし、中には、過去の数字を修正するところがある。そのような場合は、修正された数字が下の数字とあまり差ない場合、こちらもひっそりと修正するが、数が減るなど、お大規模な修正と思われる時はの時は、修正されたと本文に書いておく。今週はリビアとアルジェリアで大きな修正があった。両国ともシノファームシノバック接種国である


D1. 総摂取回数は43億回以上

7月24日から30日の間に、2億9282万8362回の接種がが行われ、総接種回数は43億9961万6362回となった。今週の接種回数は先週に比べ3000万回近く増えた。少なくとも一回ワクチンを接種した者の数は1億648万6736人増えて、23億1741万9149人となった。接種率は29.43%になった。中国などいくつかの国では接種人数を発表していないので、接種率はこの数字よりは高く、30%を超えているものと思われる。ワクチン接種を完了した者は6556万5170人増え、11億9573万2400人となり、割合は15.19%である。

下のグラフは8月6日までのワクチン接種上位50ヵ国である。( )の数字は累計陽性数の順位である。

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中国があまりに多いので、他の国はほとんど接種していないように見えるが、50位の南アフリカでも接種回数は800万回を超える。44位のドミニカ共和国まで1000万回以上の接種をしている。

これらの国の7月31日から8月6日までのワクチン接種回数は次の通りである。

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中国の接種回数は1億2000万回以上で先週より約800万回増えた。インドも先週より600万回近く増やし、今週は3949万1130回の接種を実施した。中国の約1/3にすぎない。日本は1600万回近く接種をして第3位である。パキスタンも日本に負けじと接種回数を大幅に増やしている。中国の接種回数があまりに多いため、他の国が接種を怠っているようにも思えるので、中国とインドを除いたグラフを示す

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またこれらの国の接種率、完了率は次のようになる

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中国はデータを発表していないだけで、実質はもっと高いと思われる。また、接種回数が多いからといって、接種率、完了率も高くなるとは限らない


D2. 接種回数を減らすと陽性数が増える

日本は接種回数でイギリスとドイツを抜いて5位に上がった。先週は先々週より500万回以上も多い1564万1654回の接種を行なった。総接種回数は9965万1092回と、1億回まで後少し。接種人数は先週より1000万人近く増え、5809万5553人に、完了者も650万人ほど増え、4155万5539人になった。接種率は46.09%、完了率は32.97%まで上がった。6月半ば頃のEUの標準的な値である。下の図は主要EU諸国の新規陽性数とワクチン接種回数のグラフ行列である。

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接種率が50%を超えると、接種を受けていない人の方が少数派になる。従って、これから接種を受けようとする人の割合が減り、ひいては接種回数の減少につながる。EUでは早ければ6月11日、遅くても25日からワクチン接種回数が減少した。ところがそうなると、せっかく下がった新規陽性数がまた高くなるという傾向がある。

この頃EUでは規制緩和を実施したため、接種を完了したものは人前でマスクをする必要がなくなった。ところが、昨今の変種はワクチン接種を完了していても感染する能力がある。それは、現在接種されているワクチンは、原種株あるいはイギリス由来のアルファ株など昨年中頃からヨーロッパあるいはアメリカで流行していた変異株をもとに開発生産されているからである。原種株やアルファ株が体内に侵入した場合たちどころに抗体が生成され、体内でそれらが増幅する前にやっつけてしまうので、ウイルスを保持することもない。しかし、現在流行している変種にはその抗体が理論通りに働くかどうかは全く未知数である。今年に入ってからの統計だけを見れば、全く機能していないように見える。実際ワクチン接種者で発症する人も出てくる。とならば、ウイルスに感染しても発症しない人も出てくるのは必然である。しかし、こいつらは「自分はワクチンを打ったからもう感染しない」と思い込んでいるので、マスクをしたり、集近閉を避けたりとの予防をしない。ウイルスを持っている人間が予防も何もせず徘徊している状態である。ちょうど、昨年PCR検査で陰性と診断された者が感染を広めたように、ワクチン接種者がこの感染を広めた可能性が高い。

グラフからは、少なくともワクチン接種回数を増やし続けている間は、陽性数が減少していることがわかる。それゆえ、接種回数を増やしたいのが現状である。しかし、すでに述べたように、二回目を接種したものはそれ以上はいらないので、完了率が増えれば、摂取回数は減少する。それゆえに幾つかの国で3回目の接種を打ち出しているのである。


しかし三回接種も効果はあまりないと思われる。ジブラルタルは完了率が116.15%と100%を超えている。つまり二回以上接種した人間が少なくとも16%いるということである。しかし、7月9日から感染拡大の真っ最中である。1ヶ月の陽性件数は744件で、2021年にジブラルタルで発生した陽性数の20%を占める。しかし死者は今のところ一人だけで、陽性数も減少傾向である。

ちなみに、接種回数が減れば陽性数が増える、というのはあくまで統計上の相関関係で、因果関係があるのかどうかは不明である。これを研究するのは疫学者の仕事である。

D3. 接種が止まった国が増えた

今週新たにワクチン接種が始まった国地域はなかった。ワクチン接種が実施されていない国は19となった。そのうち12カ国地域で2021年に陽性数が少なくとも1件確認されている。レユニオン、仏領ギアナ、マヨットのフランス海外領土は累計陽性数が1万件以上ある。

先週2週間以上ワクチン接種が滞っている可能性があると指摘した23ヵ国のうち、次の5ヶ国で接種が再開された。国名の後の数字は接種停止期間前後の人口100万人あたりの1日平均の陽性数と接種回数の変化、接種ワクチン。

ジブチ 2.0→1.1 5,439→4,732 フスプートニク、シノファーム、シノバック、アストラゼネカ、6週間ぶり

イラク 191.3→277.4 282,503→242,527 アストラゼネカ、ファイザー、シノファーム、スプートニク、4週間ぶり

マリ 0.3→0.4 6,561→9,700 アストラゼネカ、シノファーム、ファイザー、3週間ぶり

ルワンダ 61.5→55.4 1,235→207,285 モデルナ、アストラゼネカ、ファイザー、3週間ぶり

ソマリア、0.8→3.3 13,908ー>30,079 アストラゼネカ、シノファーム、シノバック、ジョンソン、3週間ぶり


シノファームはアフリカなどで、接種率の低い、人口100万人あたりの一日平均の陽性数の低いところを狙って、ワクチンを提供を開始あるいは再開しているようだが、ルワンダは一日平均の陽性数が高く、断念したしたのではないか。またイラクは戦略上重要なので、引き続き提供していると考えられる。

また、次の18の国と地域ではワクチン接種が再開されなかった。

オランダカリブ海諸島、フォークランド諸島、ガンビア*、クウェート、リベリア、マダガスカル、ミャンマー*、ニジェール*、ナイジェリア、セントヘレナ、シエラレオネ*、シリア*^、ベネズエラ*^、北キプロス**、ニウエ、パラオ、トルクメニスタン^、ツバル

また次の7国で、ワクチン接種が止まったようだ。

アンドラ、ガーナ^、ギニアビザウ*、ニカラグア^、セーシェル*、南スーダン、クック諸島、


*の一つついたところがシノファーム、2つがシノバック、3つが両方を接種しているところである。
^ のついたところはスプートニクまたはエピバック接種国である。
先週「現在シノファームを接種していない、マダガスカル、マリ、ナイジェリア、リベリアは人口100万人あたりの一日平均の陽性数がほぼ0であるから。来週あるいは再来週あた理にシノファームを接種開始しているかもしれない。

D4. ワクチンを追加して接種回数が0になるのを避ける

最新のワクチンブランド別勢力は次の通りである。黒い数字が先週までの使用国数、赤い数字が今週使用を開始(したことが判明)した国の数である。

ワクチン jk-ブランド別


ここ1ヶ月ほど 、モデルナとジョンソンの人気が高い。8月に入ってモデルナを追加した国がアルジェリアとタジキスタンの2国、ジョンソンを追加したのがカンボジア、ソマリア、スーダンとチュニジアの4国、エジプトがファイザーをリビアがシノファームを追加した。アルジェリア以外は全てアストラゼネカ、シノバック接種国である。

次のグラフはワクチンを追加した国の追加前後での接種回数を表している。

ワクチン jk-ワクチン追加

ワクチンを追加した結果、アルジェリア以外の全ての国で今週のワクチン接種回数を増加させている。特に、ソマリアとスーダンではジョンソンを追加する前のワクチン接種回数は0であったから、ジョンソン追加をしなければ引き続きワクチン接種0が続いた可能性があった。他の国もワクチンを追加しなければ、接種回数が大幅に減少した可能性がある。

このことから、ワクチンの追加は、単に接種機会をすやすためではなく、接種0の危険を回避するためのものであると考えられる。実際、過去の調査から、アストラゼネカや中国製、あるいはロシア製ワクチンを使っているところは、1週間の接種回数がしばしば0になることが分かっている。0にならずとも前週の100分の1くらいにまで落ち込むこともある。このように接種回数が前週よりも減少すると、陽性数や死者数が増えることも分かっている。これを回避するには、接種回数を維持することが大切だからである。

次のグラフは7月16日から31日までの間にワクチンを追加した国の追加前後3週間の平均の接種回数を表している。バングラデシュ、インドネシア、ベトナムがモデルナを、ラオス、メキシコ、フィリピン、スリランカがジョンソンを、オマーンがシノバックを、パレスチナがスプートニクを追加した

ワクチン jk-ワクチン追加2


やはりワクチンを追加することで、接種回数が多くなる、減少するがその幅はそれほど多くはないことがわかる。しかし、ここではジョンソンとモデルナに限る。スプートニクを追加したパレスチナでは接種回数を66%も減らしている。シノバックを追加したオマーンも47%減少させた。オマーンは7月前半にスプートニクを追加しているので、そのせいもあるかもしれない。



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