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サブカルチャーの今後

 現在、純文学や伝統芸能は権威を失い、サブカルチャーが結果としてメインカルチャーになっている。このサブカルチャーの源流は、戦後日本に入ってきたアメリカ文化にある。戦後のサブカルチャーは、SF、ミステリ、ジャズなどアメリカ的な生き方に付随する文化全般がサブカルチャー扱いされてきた。対して、メイン、ハイなカルチャーは日本の伝統的文化を指していた。この関係が1980年頃まで続いた。しかし、今では、文学、文化、生活へのアメリカの影響というのは、ほとんど意識されていない。むしろ、アニメやマンガに代表されるオタクカルチャーは日本の文化とされ、国の取り組みであるクール・ジャパン戦略という名のもとに、日本の伝統文化を受け継いでいるとされている。これは、アイデンティティの問題で、日本人がオタク文化を伝統的な文化と思いたいという考えがオタクカルチャーを日本の伝統にさせているのだ。つまり、もとはアメリカ文化であるが、日本の伝統としたいという精神のねじれが起きている。また、日本のオタク文化はアメリカの文化のアレンジ、工夫をしていてそこを評価する考えもある。このようにして今日のサブカルチャーであるオタクカルチャーは日本の文化とされている。
 

 では、今の日本の文化メインであるサブカルチャーはこれからどうなっていくのであろうか。クール・ジャパン戦略もあり、日本のマンガやアニメ、ゲームは海外にたくさん輸出された。今後は、それを模倣して、いわゆる日本的なサブカルチャーが、アメリカや韓国などで次々と生み出されていくと考えられる。つまり、日本がこれからアニメやマンガ作品を輸出していこうとしても受け入れられるかわからない。では何を発信していけばいいのか。これからは、作品そのものではなく、コミックマーケットやニコニコ動画といったコミュニケーションのインフラ、消費環境を輸出していくべきである。日本では作品の登場人物や設定を利用して消費者側が別の物語を展開する二次創作文化がある。それが、コミックマーケットやネット上のコミュニティサイトで行われている。こうした二次的創作文化なくして、今日の日本のサブカルチャーの面白さを感じるのは難しくなっているのだ。日本のサブカルチャーと楽しむ外国人はそれを可能にするファンのコミュニティ(日本でのコミックマーケットのようなもの)を求めている段階に入っている。この消費者文化がこれから輸出されていくべきであり、海外から求められていくことで自然と輸出されていくと思う。

 先にも述べたが、今後は日本的なサブカルチャーが海外で次々と生み出されていく。そこに求められるのは、日本的なオタクの楽しみ方である。それが、グローバルスタンダードになれば、日本の文化がさらに注目されるきっかけになると思うのだ。