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モチベーションの脳科学:やる気を引き出す6つの脳の仕組み

モチベーションの脳科学:やる気を引き出す6つの脳の仕組み

脳科学者が教える「やる気を出す方法がわかる【モチベーションの脳科学】」第2弾。今回は、やる気を作り出す脳の仕組みについて探ります。そもそもモチベーションとは何でしょうか?簡単に言うと、脳の中で特定の行動が選ばれやすくなっている状態のことです。

例えば、「今日は筋トレのモチベが高い!」という場合、様々な行動の選択肢がある中で筋トレという行動が選ばれやすくなっているのです。

では、このモチベーションを作り出し、コントロールしているのは脳のどの部分でしょうか?脳を海賊団に例えるなら、5人の脳海賊クルーが重要な役割を果たしています。

今回は、最新の脳科学や心理学が明らかにした6つの理論を通じて、どのようにモチベーションをコントロールできるのかを解説します。ダイエットや資格試験の勉強など、やる気が出ないと悩んでいる方に必見の内容です。


モチベーションを引き出す6つの理論

  1. 報酬予測誤差理論

  2. R-O学習理論

  3. 習慣形成理論

  4. 動的フィルタリング理論

  5. 時間割引理論

  6. ファイト・オア・フライト応答理論

それぞれの理論を簡単に説明します。

  1. 報酬予測誤差理論
    これは、もうやめたいと思っている気持ちを、もう一度やりたいという気持ちに変える仕組みです。

  2. R-O学習理論
    今はやりたくないと思っていることを、すぐにやりたいという気持ちに変える理論です。

  3. 習慣形成理論
    やりたいと思っていることを、やらないと気が済まないという習慣にする理論です。

  4. 動的フィルタリング理論
    やる気がしないという気持ちを、やってやるという気持ちに変える理論です。

  5. 時間割引理論
    将来の報酬や結果を考慮に入れて、今すぐに行動する動機付けを高める理論です。

  6. ファイト・オア・フライト応答理論
    緊急事態に対して、戦うか逃げるかの反応を促す理論です。

このように、モチベーションややる気にはさまざまな種類があります。では、これらの理論について順番に詳しく解説していきます。


報酬予測誤差理論

報酬予測誤差理論とは、何かを行ってその結果が予想以上に良かったときに発動する仕組みです。例えば、思っていたよりもテストの点数が良かった場合などがこれに当たります。

具体的には、モチベーションのオペレーター役を果たす神経伝達物質、ドーパミンが即座に放出されます。これがエンジンにガソリンを注ぐような役割を果たします。このガソリンがたっぷり注入されることで、脳の中のその行動に関連する回路が強化され、そのエンジンが勢いよく動き出すのです。

結果として、予想よりも良い結果が得られた行動は、その後も選ばれやすくなります。これまで「もうやめようかな」と思っていた行動も、「もう一度やってみようかな」と思えるようになるのです。



R-O学習理論

R-O学習理論とは、ある行動を取った結果、その行動が目標達成に近づけたときに発動する仕組みです。例えば、毎日ランニングをしたら体重が落ちたという場合がこれに該当します。

報酬予測誤差理論とは異なり、R-O学習理論では行動の結果が目標達成に結びついたときにドーパミンが放出されます。このドーパミンの放出量が増えることで、目的に近づけるような行動が選ばれやすくなります。

その結果、これまでは「今はやりたくない」と思っていた行動でも、「やってみよう」と思えるようになるのです。例えば、ランニングを続けることで体重が減った経験があると、次もランニングを始めやすくなります。これにより、目標達成に向けた行動が習慣化されるのです。


習慣形成理論

習慣形成理論とは、R-O学習理論で「やりたい」と思うようになった行動を繰り返すことで、その行動が習慣化される仕組みです。例えば、毎日ランニングを続けて体重が減ったり、勉強を続けて試験の点数が上がったりするようなことです。

具体的には、この繰り返しにより脳内で切り替えスイッチのようなものが働きます。これまでは扁桃体を通過していた行動の脳回路が、線条体の尾側部を通過するようになります。これにより、やる気を消費しなくても自動的に実行できるようになるのです。

最終的には、やらないと気が済まない、毎日の歯磨きのような習慣化した行動に変わります。こうして、特定の行動を自動的に行えるようになることで、モチベーションに左右されずに目標達成に向けた行動を継続できます。

動的フィルタリング理論

動的フィルタリング理論とは、目的を達成するために必要なことを認識し、前頭前野が目的達成を邪魔する生理的欲求の脳回路の活動を抑える仕組みです。例えば、睡眠欲求に勝てず早起きが苦手な人でも、大事な用事がある日は早く起きることができるというわけです。

この理論が上手く働くようになると、やるべきだと分かっているのに実行できないことでも、しっかりと実行に移せるようになります。目標に向かって計画的に行動できる力を強化することで、モチベーションに依存せずに目的達成に向けて進むことができるのです。


時間割引理論

時間割引理論とは、私たちが持っている少し困った性質のことを指します。具体的には、同じ1万円でも今日もらえる1万円の方が、1年後にもらえる1万円よりも価値が高く感じてしまう現象のことです。この性質のせいで、遠い未来のために毎日コツコツと努力することが難しくなります。ダイエット、受験勉強、英語の勉強など、重要なことはこのような長期的な努力を必要とするものが多いのです。

最近の研究では、脳の線条体から放出されるセロトニンという物質が、この理論の鍵を握っている可能性があることが示されています。ストレスを避け、セロトニンの枯渇を防ぐことで、遠い未来のための努力でも「やっていける」と感じられるようになるかもしれません。

この理論に基づくと、日々のストレスを減らし、セロトニンの分泌を維持することが、長期的な目標に向けたモチベーションを維持するために重要だと言えます。ストレス管理やリラクゼーションを取り入れることで、未来の利益を見据えて今頑張る力を引き出すことができるのです。


ファイト・オア・フライト応答

ファイト・オア・フライト応答とは、緊急時に「戦うのか逃げるのか」という選択を迫られたときに発動する仕組みです。追い詰められたりして頑張らなければならない場面では、脳の視床下部からノルアドレナリンという物質が放出されます。この物質が脳全体を覚醒させ、先ほどまで全然やる気がしなかったことでも「やってやるぜ」という気持ちにさせるのです。

いわば、これが「やる気スイッチ」です。緊急事態や重要な局面でこのスイッチが入ることで、必要な行動を取るためのエネルギーが引き出されます。

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今日のまとめ

脳がどのようにやる気をコントロールしているのかについて、以下の6つの理論を使っています:

  1. 報酬予測誤差理論

    • 脳内でドーパミンが放出され、予想外に良い結果が得られた行動のモチベーションを調整する仕組みです。これにより、もうやめたいと思っていた行動を再びやりたくさせることができます。

  2. R-O学習理論

    • 行動の結果が目標達成に結びついたときにドーパミンが放出され、目標達成に向けた行動が選ばれやすくなります。

  3. 習慣形成理論

    • 繰り返し行うことで、行動が習慣化され、やる気を消費せずに自動的に実行できるようになります。

  4. 動的フィルタリング理論

    • 目的達成に必要な行動を前頭前野が制御し、生理的欲求を抑えることで、目標に向かって計画的に行動できるようになります。

  5. 時間割引理論

    • 遠い未来の報酬を現実的に感じられるようにするため、セロトニンの分泌を維持することで長期的な目標に向けた努力を続けられるようにします。

  6. ファイト・オア・フライト応答

    • 緊急時にノルアドレナリンが放出され、脳を覚醒させることで、必要な行動を取るためのやる気を引き出します。

これらの理論が組み合わさることで、脳はやる気をコントロールし、私たちの行動を導いているのです。


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