過去イギリスの戴冠式で振る舞われたカクテル2選(+おまけ1選)
去る5月6日、イギリスではチャールズ3世の戴冠式が行われました。
それに因み、今回はcoronation (戴冠式)と名がつけられたカクテルをご紹介します。
はじめに - イギリスにおける近代カクテルの歴史
その前に、イギリスではいつ頃からカクテルが飲まれるようになったのかという話を少し。
(「はよ酒」という方は、次項まで飛ばして下さい)
「カクテル」という言葉を初めて世に出したのは、1803年に発行されたアメリカの新聞だと言われています。
そこから半世紀後の1850年頃、ロンドンで現在のカクテルに近いドリンクを振る舞うバーが登場したそうです。
禁酒法
その後イギリスでのカクテル文化が飛躍的に発展したのは第一次世界大戦後のこと。
1920年にアメリカ合衆国で禁酒法が制定され、同国内でのアルコール飲料の販売、輸出入などが禁止されました。
これによって仕事を失ったアメリカのバーテンダーが、ヨーロッパに渡ったのです。
カクテル文化の発展
ハリー・クラドックもその1人。
イギリス生まれの彼はアメリカを代表するバーテンダーになっていましたが、禁酒法のあおりを受けて帰国します。
ロンドンの名門ホテル、ザ サボイのバーで働き始め、1930年に彼が編纂した『THE SAVOY COCKTAIL BOOK』が出版されます。
これは「カクテル・ブックの古典中の古典」と呼ばれ、再版・改版を繰り返しながら現在でも販売されています。
(日本語版もあります)
クラドック氏はその後UKバーテンダーズ・ギルドの設立に関与するなどして、イギリスのバー文化に多大な貢献をしました。
前置きが長くなりましたが、ひとつ目のカクテルのご紹介に参りましょう。
1.コロネーションカクテル(No.1)
こちらは、先に述べた『THE SAVOY COCKTAIL BOOK』の中で”CORONATION COCKTAIL (No.1)”として掲載されているレシピです。
こちらの本にはもう1種類コロネーションという名前のカクテルが掲載されているため、番号で区別されています。
こちらのカクテルは、1902年に行われたかつてのイギリス国王エドワード7世戴冠式の為に考案されたと言われています。
食前酒として飲まれるシェリーとベルモットに、ほろ苦いマラスキーノとオレンジビターズで複雑な風味を加えた一杯となっています。
2.女王陛下のコロネーションカクテル
1953年のエリザベス女王戴冠式の際振る舞われたというカクテル。
こちらで使われているデュボネ(赤ワインにキナの皮を漬け込み熟成させた混成酒)とジンは、女王お気に入りのお酒だったとか…
おまけ - バラのカクテル
華やかな名前から想像できる通り、こちらもエリザベス女王の戴冠式を祝って作られたカクテル。
ロンドンの5つ星ホテル・クラリッジズで出されていたそうです。
25歳で即位した若き女王に相応しい、女性らしいカクテルですね!
おわりに
70年ぶりに新しい君主を迎えるイギリス。
チャールズ国王の戴冠式では、どのようなカクテルが振る舞われるのでしょうか…?
明らかになる日が楽しみです!
イギリスの話題が続きましたので、次回は別の国に(頭の中だけ)旅したいと考えています。
お読み下さり、ありがとうございました。
参考
・トップ画像
Wikipedia
《 Saint Edward’s Crown 》
Public domain
・SAPPORO
《 アメリカの禁酒法はなぜ制定された?その結末とは… 》
・cocktails and events
《 A Brief History of Cocktails 》
・HISTORY ANSWERS
《 From Victorian ‘Mixed Drinks’ To The Prohobition Speakeasy :A History of Cocktails 》
Wikipedia
《 ハリー・クラドック 》
《 シェリー 》
《 マラスキーノ 》
・Daily Express
《 King Charles could ditch 'favourite drink' and opt for 'lighter' beverage at Coronation 》
Apr 7, 2023
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