![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/81770949/rectangle_large_type_2_8842fe84bba263e67da11852eb527c0e.png?width=800)
私のnoteは大丈夫?現代に残る不敬罪
以前、19世紀のオランダに「ゴリラ王」とあだ名された国王がいたという記事を書きました。
その後よく調べたら、衝撃の事実が発覚。
元々ゴリラ王をゴリラ王呼ばわりした記事を書いたアナーキストが、1887年に懲役6ヶ月の刑を言い渡されたと言うではありませんか!
私が書いた記事も、何かの間違いでオランダ当局の目に留まることがあったら逮捕⁉︎
日本で侮辱罪厳罰化が決定した事もあり、この機会に王室を持つ各国の不敬罪について調べてみました。
「拘禁刑」創設、侮辱罪を厳罰化
— 時事ドットコム(時事通信ニュース) (@jijicom) June 13, 2022
インターネット上の誹謗(ひぼう)中傷対策を強化するため、侮辱罪の法定刑の上限を引き上げる改正刑法が13日の参院本会議で可決、成立しました。ネット交流サイト(SNS)などでの悪質な投稿を抑制することが期待されます。https://t.co/cU20yfE31w
日本
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/81842077/picture_pc_613b9f0a448178b40fb8122c809fd313.png?width=800)
🇯🇵日本
1947年(昭和22年)、GHQの要請により廃止[1]
ヨーロッパ
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/81842667/picture_pc_9979befe8d7a1365d4a08112c4d58cf8.png?width=800)
国別不敬罪有無の一覧表です。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/81839883/picture_pc_aa3b15b5d0c4545a3e17df3b9cbca172.png?width=800)
◯=不敬罪あり、×=不敬罪なし(存在しない)
を表していますが、判断に迷って△にしてある国が3つも。
ひとつずつ解説しますね。
△の国
🇬🇧イギリス→形骸化
「女王らの命を狙う行為」等を禁じた1848年の反逆重罪法が現在でも残っている。
しかし最後に刑が執行されたのは1945年[2]
【追記】2023年10月、イギリスで反逆罪等が適用されたニュースがありました↓
エリザベス女王暗殺をAIに相談 城に侵入 反逆罪などで有罪判決 #nhk_news https://t.co/2LVPKQv0Q8
— NHKニュース (@nhk_news) October 6, 2023
🇧🇪ベルギー→議論中
不敬罪は存在するが、2021年に憲法裁判所がこれを「言論の自由に反する」と判決を下している。[3]
🇩🇰デンマーク→実質ある
「不敬罪」という項目は無く、王室メンバーに対しての名誉毀損は対一般人のそれと同じ条項に含まれる。ただし罰則を倍にする事ができる。
×の国
🇸🇪スウェーデン→廃止
1948年に不敬罪の法律が廃止される。
🇳🇴ノルウェー→廃止
2015年に発効された刑法で、不敬罪は犯罪ではないと定められた。
🇳🇱オランダ→廃止
2020年1月1日をもって廃止。
◯の国
🇪🇸スペイン→ある
王、女王、その祖先またはその子孫への侮辱は罰を受ける可能性がある。
ただ国民からの反発もある。
◆
オランダはつい最近不敬罪が廃止になったようです。(安堵)
さらにヨーロッパ全体で見ると、不敬罪は国によって対応が異なるものの、人権あるいは言論の自由という観点から廃止あるいは反発という動きになっています。
ただ、他の地域に目を向けると、必ずしも同じ動きではありません。
こちらも表にしたので見てみましょう。
↓
アジア
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/81842349/picture_pc_3c4493f006bb49f06667118e28d71121.png?width=800)
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/81840267/picture_pc_75e3269a7e22f5d38ce9c6c853e8c02f.png?width=800)
日本以外の(王室を擁する)国では、今なお不敬罪が存在します。
特にタイは、不敬に関して非常に厳しいことで知られています。
中東
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/81842557/picture_pc_68fccb2bcafb8126c92a4be865d77378.png?width=800)
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/81840314/picture_pc_d2dd2d253440193a1884c9a991256b03.png?width=800)
王室を持つ国は、全て不敬罪ありです。
アフリカ
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/81843189/picture_pc_750302b543f7fafcfd854cbe35400889.png?width=800)
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/81840433/picture_pc_0178d3100e56b4d67d4fa784ddcd0ed2.png?width=800)
資料が見つけられない国もあったのですが、国によって対応が分かれています。
不敬罪ありのモロッコは、スペインやフランスの支配を受けていましたから、その影響が強いと考えられます。
興味深いのは、エスワティニ(旧称スワジランド)とレソト。
共に過去イギリスの支配を受けながら、
エスワティニ
→SNS上での国王批判を取り締まる法律制定に向けて動いている(※)
レソト
→国王は政治的権力を持たない
と、国王の扱いに少し違いが見られますね。
ポリネシア
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/81843261/picture_pc_28ec193d39fe9e0510c1ffa17724e50b.png?width=800)
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/81840758/picture_pc_363f39c8e8f8d3809944bcc782ecc24a.png?width=800)
不敬罪の有無は分かりませんでしたが、先代国王は、権力の大半を首相に譲るとしているそうです。
まとめ
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/81841263/picture_pc_2147d945585cb150e1c2f4c096e58d0c.png?width=800)
世界の皇室・王室を持つ国に、不敬罪は存在するのかを見てきました。
当然ながら国によって違いがあり、その背景には歴史や宗教など様々な問題が絡んでいることは想像に難くないでしょう。
そんな中 印象深かったのが、不敬罪が廃止されたヨーロッパ3か国のうち、2か国はこの10年以内に廃止を決定したという点です。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/81840773/picture_pc_9a36cfc40c87da15a3ca3b3d8088f7b2.png?width=800)
さらに、ベルギーの憲法裁判所が 不敬罪に関して「言論の自由に反する」との判決を下したのは2021年。
また逆に 不敬罪で罰せられた事件の中には、SNS上での発言が引っかかったケースも。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/81853769/picture_pc_7ba8fcb015b927233af9a9ee715816c6.png?width=800)
Facebookで国王を侮辱して禁固30日
Facebookで国王批判を行い逮捕
Instagramでのコメントが名誉毀損で訴えられる
ソーシャルメディアで王室批判の音声を流したとして逮捕。禁固43年。
日本では 戦後間もなく廃止された不敬罪も、世界的に見ると今この時点で議論されている問題なのですね。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/81854039/picture_pc_a7af5695e4b9c7b237e145cfbd031eb1.png?width=800)
自分も今後は過去の偉人に愛と敬意を持って記事を書くよう気をつけたいと思いますが、ある日突然アカウントが消えていたら…その時はお察し下さい。
本日もご覧下さり、ありがとうございました!
【2022.7.8. 追記】
かつて日本の首相を務めた政治家が銃弾に倒れるという事件が起こりました。ご冥福をお祈りします。
これ以上卑劣で不当な暴力がまかり通ってほしくないと強く願います。
参考:
トップ画像: unsplash
[1]日本国憲法の誕生/ 資料と解説/ 5-13 大逆罪・不敬罪の廃止
[2]UK Parliament / House of Lords Library/ Treason law reform and the Lord Haw-Haw case 75 years on / Published Friday, 11 September, 2020
[3]DS / Verbod op ‘majesteitsschennis’ is in strijd met vrije meningsuiting, oordeelt Grondwettelijk Hof / 28/10/2021
[4]AFP BB news
《 国王を侮辱してもいいの? オランダ議会、不敬罪の廃止めぐり議論 》
[5][6]Fair Observer
《 Asia’s Lèse-Majesté Laws Are a Futile Attempt to Stifle Dissent 》
[7]The NY Times
《 Woman Is Sentenced to 43 Years for Criticizing Thai Monarchy 》
・Wikipedia
《 不敬罪 》
《 Lèse-majesté 》
《 Treason Felony Act 1848 》
《 Majesteitsschennis 》
《 Lèse majesté in Norway 》
《 Lesotho 》
《 List of monarchs of Tonga 》
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?