王家の宝石 | マルグレーテ女王のパールポワールティアラ
概要
デンマーク女王・マルグレーテ2世が即位50年記念の際着用したティアラ
名称
THE PEARL POIRE TIARA
poire (ポワール)=梨の意味で、ここでは洋梨型(しずく型)のパールがあしらわれたティアラのこと
起源
オランダ王家に嫁いだプロイセン王女、ルイーゼ・フォン・プロイセンが結婚祝いとして贈られたものとされる
宝飾メーカー⠀
不明。1825年ベルリンで作られたか?
歴史
6人いるので、簡潔に行きます。
国名が沢山出てきますが、後ほど再度まとめますので流し読みでOKです。
① ルイーゼ・フォン・プロイセン
プロイセン王、ヴィルヘルム3世の娘。
オランダ国王ウィレム1世の次男に嫁いだ。
② ルイーゼ・ファン・オラニエ=ナッサウ
オランダ王族となった①の娘。
のちのスウェーデン=ノルウェー国王に嫁いだ。
③ ロヴィーサ・アヴ・スヴェーリエ
スウェーデン=ノルウェー王妃となった②の娘。
のちのデンマーク国王に嫁いだ。
ここから、ティアラはデンマーク王室に受け継がれていくことになる。
④ アレクサンドリーネ・フォン・メクレンブルク=シュヴェリーン
デンマーク王妃となった③の息子の妻。
のちにデンマーク兼アイスランド王妃となる。
⑤ イングリッド・アヴ・スヴェーリエ
④の息子の妻。
のちにデンマーク王妃となる。
現女王マルグレーテの母。
⑥ マルグレーテ2世
現在のデンマーク女王。
このティアラが選ばれた理由(妄想)
既にご覧頂いた通り、このティアラはプロイセン(現在のドイツ)にルーツを持ち、オランダ、スウェーデンを経てデンマーク王室の管理するところとなりました。
しかも所有者③はスウェーデンとノルウェーが連合王国であった頃の王妃。
④はデンマークとアイスランドが同君連合であった頃の王妃(アイスランドは現在共和国として独立)。
こういった点からも、北欧の複雑な歴史を垣間見ることができます。
マルグレーテ女王は、在位50年の祝宴冒頭の挨拶の中で
「北欧ほど互いに密接な関係にある国はない」
とした上で、スウェーデン国王夫妻、ノルウェー国王夫妻、フィンランド首相夫妻、アイスランド首相夫妻をゲストとして迎えることへの喜びを語っています。
この事からも、複雑な歴史を持つティアラを身につけて 各国からのゲストへの「おもてなし」の気持ちを表現したのではないでしょうか。
ティアラが見届けてきたもの
ティアラの歴史で見て頂いた通り、こちらのティアラは基本的に王妃の、そして現在は女王陛下専用のものとなっています。
しかし、1952年、例外的に傍系の王族がこれを着用したことがあります。
それがこの方、マルガレータ。
当時のデンマーク国王の血縁に嫁いでおり、国を代表して とある国で行われた式典に夫婦で参加。
その際このティアラを着用したそうです。
その式典とは、故エリザベス女王の戴冠式。
実は、エリザベス女王と現在このティアラを着けているマルグレーテ女王は、14歳の年の差はあれど非常に親しい間柄。
互いに「リリベット」「デイジー」と愛称で呼ぶほどだったそうです。
マルグレーテ女王のゴールデンジュビリーはエリザベス女王の訃報の直後に行われることとなりましたが、実は祝宴の冒頭でマルグレーテ女王の口からエリザベス女王への1分間の黙祷が呼びかけられていました。
そんな深い絆がある両者の節目を見届けてきたティアラ。
次の世代へバトンが渡ったあとは、どんな歴史を見ることになるのでしょうか…。
長いティアラの歴史の話、これにておしまいです。
本日もお付き合い下さり、ありがとうございました!
関連記事
その他マルグレーテ女王所有のティアラ。
こちらはルーツを辿るとイギリスに行き着きます。
④アレクサンドリーネの妹の話です。
アレクサンドリーネはデンマークに、妹はドイツ帝国に嫁いで…
エリザベス女王の戴冠式に出席したマルガレータの話です。
参考
トップ画像
unsplash
・The Court Jeweller
《 THE PEARL POIRE TIARA 》
・Tiara Mania
《 Princess Louise of the Netherlands' Pearl Poiré Tiara 》
・YouTube
ITV News
《 Queen Margrethe II of Denmark says Queen Elizabeth II made 'enormous impression' on her | ITV News 》
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