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無駄な努力?

いつも違いを埋めようとばかりしてしまう
小学生の頃から

小学生のときは真面目と言われる自分が嫌で
中学生のときは運動できない自分が嫌で
高校生のときには明るくない自分が嫌で
大学生のときにはルールを守れない自分が嫌で
今は体力がない自分が嫌で

私だってみんなみたいにやりたい

周りを見て、人を見て、自分に足りないものを見つけては埋めようとしてきた

私もあんな風になりたい

これがあの人の言う
欲張り
なのかもしれない

努力で一定のところまでは辿り着けると思っていた
実際辿り着けるのかもしれない

でも彼らの横には並べないのだ
探せばいくらでも穴は見つかる
私が目についた穴を埋めている間に
他の人は土を盛り始め
私が結構穴が埋まったと安堵したとき
他の人は結構高くなったと土の山を見上げる

ふと横を見て、私はその差に愕然とする

私がやっと安心して作業できると土を盛り始めたとき
他の人は土の山に草木を植え始める
私が自分の土の山を眺め少し微笑んだとき
他の人の土の山は立派な丘となっていた

私は目の前の山と横の丘を見比べる
もう驚かなかった

私は
 立派な丘ですね
と声をかけた
決して嫌味などではなくその言葉は本当だった

彼も嘘偽りのない輝かしい笑顔で
 とんでもないです、でも、ありがとうございます
 まだまだこれからなんで一層頑張っていかないと
と言った

そのとき私と彼の間を風が駆けていった

彼は今度は丘に人々を招いて村を作るという
 あなたも良かったら一緒に村で暮らしていきませんか
 あの、少し、考えてもいいですか
 もちろんです、私はいつでも歓迎しますよ

また風が吹いた

妄想が広がりすぎてしまった
この間にも沢山のひとが土の山を着々と作っているのだろう、でももう少しだけ

私は彼の村で暮らすかを決めるにあたって
どうしても聞いておきたいことがあった

 最初のころ、地面にたくさん穴があって大変じゃなかったですか
 穴、ですか、いやーそんなものありましたかね
 でも気にならなかったので無かったのかもしれません
 そうですか、教えてくれてありがとうございます

彼の言ったことが本当なのかどうか私には分からなかった


この妄想の私はこの後どうするのだろう

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