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誰かの言葉で自分の人生を決めるのはもう辞めた。
「文章を書く」事が好きだ。
だから「何かを書く」仕事がしたい。
こう決める前に、そんなに好きじゃない銀行員という仕事を11年も続けた。
私は割と周りの評価を気にする人間だ。そんな性質から、皆が納得してくれる「銀行員」という職業を選んだ。
世間体は良いし、家族も喜んでくれているし、これで良いんだ、と長い間思っていた。
大学は文学部日本文学科で、大好きな文章をたくさん書いた。
けれど、
「好きな事を仕事になんてできる訳がない。それに『何かを書く事』は、就職したからって辞めないといけないわけじゃない。趣味として隣に置いておけば良い。」
こんな事をぼんやり考えていたと思う。
月日は流れて、私は順調に銀行員として認められて、成長して行った。銀行の仕事は辛い事もたくさんあるけど、楽しい事もたくさんあった。たくさんの大切な仲間もできた。充実した毎日になんの疑問も、迷いもなかった。
忙しくて「何かを書く事」なんてすっかり忘れていた。
結婚して、妊娠した時、夫と母親に「今、仕事を辞める理由がない。」と言われた。
「何故勝手に決めるの?」ともやもやした。
けれどやっぱり周りの意見を気にする私は、「そうなのか、辞める理由はないのか。」と、流されるように、産休、育休を取得することに決めた。
転機が訪れた。
子供を産んで、世界が一変したのだ。
子供中心の生活の中で、今まで当たり前だった事にどんどん疑問を感じ始めた。
「フルタイム」と言う働き方。
当たり前に毎日続く残業。
簡単に取れない休暇。
仕事にやりがいがないわけじゃない。でも、本当にこれで合ってる?本当に辞める理由、ない?
保育園のお迎えが最後になるたびに、
銀行の仕事も嫌いになりそうだった。
正直言って、流されるように仕事を続けた事を後悔していた。
毎日「一体、私が一番大切にしたい事ってなんだろう。」と考えていた。
そんな時webライターと言う仕事を知った。
忘れていた「何かを書きたい気持ち」を思い出した。
しかも幸運にも、「好きな事」と「家族との時間」が繋がった。
チャンスかも知れない。
でも、30代だし、
今から新しく始めるなんて無謀じゃないか?
大学を卒業する時に、「趣味にしよう」と決めたのに、今更?
と、色んな思いがよぎった。
家族や周りも銀行を辞めるのは反対だった。
「もったいない」
「転職して年収上がるの?」
「これから子供にお金かかるよ?」
そんな事をたくさん言われた。
だけど、私は好きな事を全力でやったことがあるのか?
今まで、周りの意見を伺ってばかりだったじゃないか!
「辞める理由がない」と言われて、流されるように仕事を続けて、結局後悔してるじゃないか!
あぁ、そうだ。誰かの言葉で自分の人生を決めてしまうのはもう辞めよう。たとえ後で後悔しても、その言葉を発した人は、私を助けてくれるわけじゃない。
私の人生は私が決めよう。
そして今が、自分の人生の舵を切る時なのかもしれない。
気が付いたら、ほとんど勝手に挑戦しようと決めてしまっていた。
それからは、あっという間にランサーズブートキャンプに応募して、ライターのイロハを学んで、
これまたあっという間に会社を退職して、今に至る。
「辞める理由がない」と言った夫や母親も、少しずつ実績を積んで、気が付いたら応援してくれている。
一生懸命な姿勢を見せたらちゃんと応援してくれるんだ、と拍子抜けである。
もちろん不安はたくさんある。
でもまだ何も始まっていないからこそワクワクしている。
私の人生の第二章は始まったばかりだ。
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