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MLBで進む「選手は使い捨て」の現状

「男は踏み台、使い捨て」

某有名女子高校の名物教師の発言にこんなものがあるらしい。語呂の良さはともかく、強烈な字面である。本来の意味としては大学に入っても男に媚びずに勉学に励むように、ということらしいが、字面をそのまま受け取った人もおそらく少なからずいるとは思うため、何とも恐ろしい気持ちになったのは自分が男だからだろうか(もっとも、こういう考えを持つ女性が世の中の多数派を占めているとは考えてはいない、というかそう信じたい)。

冗談はさておき、ことMLBにおいては選手の使い捨て傾向が強くなってきている。データを重視したチーム編成が当たり前となった結果、選手の入れ替わりのサイクルがこれまでよりも早くなり、また各球団がリスク回避的な行動に出ていることからFA市場も冷え込みを見せており、選手の雇用情勢は厳しさを増している。ブライス・ハーパーの13年総額330億ドルの契約や、マニー・マチャドの10年総額300億ドルの契約といった巨額の契約につい目が行ってしまうが、あれはごく一部の例外であることを忘れてはいけない。

今回はサービスタイムの減少、年俸調停有資格者に対するノンテンダーの増加、そして2年連続となるFA市場の停滞の3つのポイントに焦点を当てながら、選手の雇用情勢を巡る現状を見ていく。

サービスタイムの減少

MLBのシステム上、一部の例外を除いて3年間MLBに在籍すれば年俸調停の資格を得ることができるため、選手が年俸を上げるためにはMLBでの在籍日数(サービスタイム)を増やすことが何よりも重要である。

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