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第16回 車の流れに気をつけよう~候補地選定の際の注意点~

交差点手前角地の7つの注意点

候補地選定の際、中地より角地が優れているという事は以前から繰り返しお話していますが、角地の中でも信号手前側に位置する候補地にはいくつかの注意点があります。図表を参考にしながらご確認下さい。

①信号による渋滞
慢性的に渋滞が発生する区間での信号手前のポイントは出来るだけ候補地選定から外しましょう。渋滞には早くこの場所を抜けてしまいたいというドライバーの心理が生まれる事から、このような場所にあるお店は通過される傾向が強くなります。渋滞から解放された先のポイントに競合店があればその傾向は更に強まります。渋滞が調査時点だけの偶発的なものなのか?恒常的なものなのか?確認しましょう。

②お店に接する車線が左折専用レーン(図1)
車の流れが直進や右折が中心の場合、せっかく適量な通行量があっても来店できる車の流れは左折車だけになってしまいます。左折車以外が来店するにはそのポイントにお店がある事が既に認知されていること、十分手前から車線変更への準備が出来ることが条件となります。

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③右折専用レーンありで右折が主導線(図2)
車の流れが右折が中心の場合、②と同様に考えると来店できる車の流れは直進、左折車だけとなってしまいます。直進、左折車以外が来店するにはそのポイントにお店がある事が既に認知されていること、十分手前から車線変更への準備が出来ることが条件となります。
このように交差点手前角地は通行量だけでお客様の来店を見込むと、右左折レーンの設置状況により実際に来店可能なお客様との間に乖離が発生します。

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それ以外にもドライバーのブレーキ操作やハンドル操作が通常より大きく必要になる以下のような場所への出店には注意点が必要です。

④お店の前が坂道でしかも下り坂(図3)
下り坂を走行中の車がお店の駐車場に入ろうとした場合、平坦な道路を走行中の来店シーンより強めにブレーキをかける必要があります。そのためお店が十分手前から認知でき、来店への運転操作の事前準備ができる事が重要です。逆に上り坂の場合はアクセルを緩めるだけで減速できる為、来店はしやすいと言えます。

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⑤お店の前がカーブしており、その内側に位置する場合(図4)
車がカーブを曲がっている間、ドライバーは一定の抵抗を感じながらハンドルを切っている状態です。お店がカーブの内側にある場合は、ドライバーは更にハンドルを深く切らなければならない為、心理的な抵抗感が大きくなります。そしてその抵抗感は車速が速くなるほど増幅します。更に内カーブの場合のドライバーの目線はカーブの終端に向いている為、例えお店やサインポールが「見ようとすれば見える」位置にあったとしてもドライバーの目線からは外れてしまい来店されない事が多くあります。逆にお店がカーブの外側にある場合はドライバーの目線の正面にお店が見えることから事前に十分な時間を持ってハンドル操作の準備ができるだけでなく、ハンドルを少し戻すだけで駐車場に入ることが出来るので心理的な抵抗感がなく非常に来店されやすいお店となります。

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さらに通行量の多過ぎる道路も来店に悪い影響を与える場合があるので現地で良く確認しましょう。通行量の計測方法はお店の前面道路(店舗入口側の道路)の反対車線側を除く15分間の通行量です。おおよその目安として180台を超える場合、通行量過多(ヘビートラフィック)と呼びます。

⑥通行量が多い上、平均車速の高い道路
車速が速ければその分手前から減速する動作が必要になります。前述の下り坂と同様にお店が十分手前から認知でき、来店への運転操作の準備が少しでも早く整うことが重要です。またこのような道路の場合、同じ速度で周りの車と一体となって走行しているので、ブレーキ操作で車の流れを乱すことに抵抗を感じます。進入口幅を出来るだけ広く(8m推奨)取り、減速の度合いを緩和すると来店しやすいお店になります。あわせて進入口の先の駐車場内には障害物(幟や看板等)を設置しないようにしましょう。

⑦通行量が多い上、大型貨物比率が高い道路
トラックの比率が高い場所では前を走るトラックの荷台で普通車の前方の視界が著しく阻害されます。その為お店の存在を認知させることが難しくなります。既にお店の存在を認知していたとしてもお店が見えない状態で車線変更等の準備を始めなければならないので来店の難易度が高くなります。大型貨物比率の計測方法は反対車線を除く15分間あたりの通行量の内、貨物車を側面から見た時にタイヤの列が横に3列(3軸)以上の貨物車をカウントし、全体の通行量の10%を超えた場合は大型貨物比率が高いと判断します。

まとめ

今回は候補地選定時の7つの注意点について説明しましたが、既存店においてこの注意点が当てはまる場合、店舗の視界性や進入口の入りやすさを改善することで売上の改善を図ることが出来る場合があります。年末年始は車の流れ、質ともに大きく変化します。普段と違うお客様にどれだけお店の存在をアピールし、来店しやすいお店作りをするか、これを機会に考えてみてはいかがでしょうか。

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