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野球ポエム

まだ終わってはいないが、
7月は胸熱のアマチュア野球マンスだった。

甲子園をかけた高校野球福岡大会を10試合、
アマチュア最高峰の都市対抗野球を1試合、
計11試合を担当。

現在も各大会続いていることを考えれば、
もっと関わりたかったという思いもあるが、
それでもかなり充実した。

何より心が満たされた。

“もっとグラウンドにいたかった”あの頃の自分の気持ちを、30歳を超えて尚追い求める日々。
以前ほど純粋ではないけれど、グラウンドにいくと何かがスッキリする。

高校野球は北九州市民球場に通った数日。
雨流れの日程で選手も大変だったと思うが、無事に今日決勝を迎える福岡大会。
今朝家を出たところ、たまたま福大大濠の大型バスが球場に向かうところへ出会した。選手達は緊張感と甲子園まであと一勝の高揚感の狭間にいる。
全てのカーテンを閉め切ったバス、ほんの数秒の姿からでも、背負う35年ぶりの夏出場への期待と選手の集中を感じた。

西短との一戦はどんな展開になるだろうか。
10時に試合が始まる。

「高校野球は良いよね」

よくおじさん達から言われてきた。
自分が現役の時から。

自分がおじさんの域に達してきて、より思う。
“高校野球はやっぱり良い”

実況をしていて涙が出そうになるのは
少し目元が緩すぎるのかもしれない。
いや、それくらいツーンとくるものを見せてくれているから仕方がない。

印象的なシーンがあった。

1人で守ってきたマウンド、
足が攣って思うように動けなくなった
沖学園 川畑秀輔くん(2年)

そこにすぐさま相手の東海大福岡の選手が駆け寄って経口補水液を差し出した。
渇きを潤して、相手の選手に、そしてベンチに深々と一礼、二礼、それ以上に何度も深々頭を下げる川畑くん。
一瞬に人柄が出る。
東海大福岡の選手はすぐに行動して素晴らしかった。暑い中、讃えあってプレーしていた。
惜しくもその試合で川畑君は敗れたが、
小柄な体から繰り出される140超えのボールを、また次の夏に見たいと思った。

飯塚の肥後琥南くん(3年)も忘れられない。
ベスト4を決める福大大濠戦。
エースで5番として重責を担ってきたこの夏。
さすがに疲れが出てきたか、中盤以降打線に掴まった。

リードされて迎えた打席。
反撃に転じたい場面。

大濠・柴田くんの140を超えるボールが背中、左の肩甲骨付近に当たりデッドボールを受けた。
しゃがみ込み苦痛の表情で、腕はだらんとしていた。想像するだけで、息が止まるような痛み。
左腕を高くあげて投げ下ろすフォームの肥後くんにはきつい箇所にも見えたし、何より苦しそうだった。
けれども、その後のイニング。
少々時間が空いた後、彼はマウンドに戻ってきた。

背番号1の姿に一瞬こちらも言葉が詰まり、こらえるのに苦労した。
戦いきった彼の姿は、飯塚高校の夏を象徴していたと思う。意思のある一球一球、ストレートと変化球のコンビネーション。きっと上のカテゴリーでも活躍する。
集中打を見せる打力も本当に素晴らしいチームだった。

10試合もあれば書きたいことだらけ。
ベスト4躍進、近大福岡の田邊周くん(3年)も“勝ち切る投手”だった。
ロースコアで決勝は逃したが、四死球を出しても粘る、点を与えない投球は圧巻だった。
きっと色々な大人達が今後の進路を気にしていることだろう。エースでキャプテン、彼のチームだった。

自分が関われるのはベスト4を決める試合まで。
けれどもその間が熱く、面白い。

目の前が人生の全て、出し切ろうとする中でビッグプレーもあれば、上手くいかないこともある。
取り返しのつかないプレーも、仲間が救う一瞬もある。
ずっと残ることになる夏の記憶を、悔しいことほど大切に留めていてほしいなとおじさんは思う。
本当に皆素晴らしい姿だった。

母校 鶴見丘は自分たちの時同様、明豊に負けた。
7-3で。
自分たちは10-0のコールド負けだったから
よく戦ったとスコアだけでも分かる。
大石煌心(こころ)くんはエースでキャプテン。
140キロ越えのボール、配信でチェック済み。
鶴見丘4人目の立教大学野球部として神宮に出てほしいなと期待する。

大学野球も社会人野球も、
望めば色々な世界が広がる。
野球に関してはやり直したいことばかりのおじさんは、実況で名前を口にした選手達にまたどこかで会えることを楽しみにしている。




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