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【僕の唯一の心霊(?)体験:後部座席に誰か居た】

僕はいわゆる「霊感」がまったく無く、しかも、結構恐怖心が少ない(?)人間なので、
人生の中での心霊的な恐怖体験というのは殆どしたことが無い。
(集団の中で一人は居る、「近くに飛んできたスズメバチを冷静に捕まえて殺せる」タイプの人間…)
生きている人間に恐怖したことはたくさんあるんだが…

殆どない、というか、唯一、はっきりと得体の知れない恐怖を覚えた体験が、かれこれ15年くらい前の以下の体験。

僕は当時、兵庫県の北の方、豊岡市の但東町に勤めていて、仕事帰り、友達の家に行くために峠道を車で走っていた。
但東町は山間にあり、他の街に行こうと思えばだいたい峠かトンネルを通る必要がある。通っていたのも、いくつかの選択肢の一つ。
車内でかけていたのは、綾小路きみまろのトークショーを2倍速で再生するCD(笑)
友達や女の子を乗せて走るときにはもちろんかけないが、きみまろの早口毒舌トークを2倍速で聞き取ると、楽しく脳トレになる(と思っていた)。

季節は秋。冬になると積雪があったりするので走りにくいが、今はもちろん大丈夫。
途中に集落らしい集落もなく、灯りも殆ど無く、峠の車道らしく道は曲がりにくねっているが、対向車も殆ど無いので、特に不便は感じたことがない。

走りなれた、という程度ではないが、何度も走っている道。
寂しく真っ暗な峠道。めずらしく対向車が来て、すれ違って、

ふと、突然に、はっきりとした気配を背後に感じた。

誰かが後部座席に座った気がした。
後部座席に誰かが乗り込んでくると、わずかに感じる重心のズレ。
「すまんねー!乗せてもらって」と友達が乗り込んでくる時に運転席で感じる、
ぐいっと車の後ろに体重がかかる感触。
車は走っている最中なのに。

間違いなく、車の中の気配が変わった。
首の後ろにひしひしと気配を感じる。
緊張ですごい肩と首がひきつる。
怖い。ミラーを見ることができない。
道は真っ暗。スピードを上げたい。
でも怖いから、まったく運転のペースを変えない。
僕は後ろのあなたに気づいていませんよ、というメッセージ。
「んんー?」と言いながら、さりげなくミラーを上に傾ける。

涼しいので、特に冷房はかけていない。
CDからはきみまろのトーク。
「贅沢しないのに贅肉がつき。登りきってもいないのに下り坂!」
「風呂から上がり、女房は脱毛、旦那は育毛!」

まったく笑えない。声はひびくのに水を打ったように静かな車内。
早く早く早く。街の灯りが見たい。
早く早く早く。

走っていた時間はおそらく15分くらい。
やっと街の灯りが見えた。久しぶりの交差点。
信号が赤になり、停まる。
気配が消えた気がした。

涼しい車内。しかし、水をかぶったみたいに汗をびっしょりかいていた。
ミラーを戻せたのは、友達の家に着いた後。

車から降りて、しばらく外を歩いて、気持ちを落ち着かせてから友達の家のインターホンを押した。
その日は、なんとなく、先程の体験を話すことをためらったたため。

話はこれでおしまい(笑)
後にも先にも、その類の体験はしたことがありません。
でも、15年くらい時間が経過した今も、
その時に感じた恐怖ははっきりと思い出せるんだよな。。。

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