LoRaWAN と iBeacon と Indoor Map
コロナとオリンピックで揺れる令和3年(西暦2021年)も、早くも1/6が終わろうとしていますが、いかがお過ごしでしょうか?
今回も完全SEOガン無視タイトルでいきたいと思います。
この記事にたどり着いた方には当たり前の話かと思いますが、LoRaWANは、WiFiなどと同じく免許を必要とせず、自身で基地局(ゲートウェイ)を設置し利用することが可能です。であるが故に、郊外・広域で利用しようとすると、逆にそれが足かせになってしまいます。よって、必然的に屋内での利用が良いのでは?という発想になるかと思います。
室内とは言えど、鉄筋コンクリートでできたしっかりとした建物で、どこでも利用できる状態にしようとすると、WiFiなどでは多くの基地局設置(WiFiルータ)が必要になります。が、電波方式としてのLoRaの恩恵により、LoRaWANの場合は、WiFiに比べて、設置すべき基地局数が格段に少なくなります。
先般、Dragino社よりBLE搭載LoRaWANノード LBT1が発売され、日本でも利用可能になりました。
いつもながら、TTN Japan アンバサダー吉田さんのご協力を得て、手元での実験を行いました。
1. 想定ユースケース(これからやろうとすること)
では、LBT1を使って、どんなことができるのか?想定されるユースケースを考えてみたいと思います。
LBT1の特長は、ざっくり言えば
・その大きさから、ポケットに入る、首からぶら下げるなど可搬性が高い
・ビーコンタグを読み取ることが可能
・振動を捉えて、(人が可搬している場合は、その)歩数をカウントできる
・それらの情報をLoRaWANで上位へ情報を送ることが可能
ということが挙げられます。つまり、
大きな建物内で動く”人”の、位置・動き を捉えることが可能である
ということになります。
ユースケースとしては、会社・病院などの屋内のスタッフの動き、介護施設における入所者の動きの把握などが考えられます。ソーシャルディスタンスを求めるCOVID-19対策にも使えるのではと思います。
そこで、今回の実験では、次のようなことができるのか?の確認を行いました。
オフィスの会議室、あるいは介護施設(入所者の部屋があるフロア)の各部屋に、誰がその時点で滞在しているのか?過去、どの程度そこに滞在していたか?がわかるような仕組み
2. 使用するもの
上述のことを実験で確認するために、いつもおなじみのものを利用して、実験を行います。
・Dragino LBT1:人が身に着けるもの想定のデバイス、今回は3台
・FBV-TMRシリーズビーコン:部屋に設置されるものを想定、今回は2つ
・Dragino LPS8:屋内用LoRaWANゲートウェイ
・TTN: LoRaWANプラットフォーム
・Indoor Map アプリ: AppSheetで即席自前構築
また、ビーコンが設置されるであろう屋内の部屋マップ(Indoor Map)として、非常に稚拙なお絵かきですが、画像を用意します。
(はい、稚拙です。。。ごめんなさい。3レターは、部屋の名前を表します。深い意味はありませんよ。)
3. 準備(LBT1の設定)
今回の実験では、特にLBT1の設定が必要になります。(TTNの設定等は割愛します。ご了承ください。)
LBT1は、アップデートしておくべきファームウェアが公開されています。したがって、LBT1のファームウェアをアップデートします。(これが、実は一番最初に手こずりました。ので、この部分だけ切り取って、別の機会に記事投稿したいと思っています。)
次に、用途を考えると、LBT1が所定のビーコンだけを捕捉できるようにしてあげる必要があります。これは、LoRaWANのダウンリンク、あるいはシリアル接続してATコマンド(AT+BLEMASK)で設定をすることができます。
捕捉すべきビーコンのフィルタリングとして、ビーコンの識別として使われるUUIDの先頭数バイトを指定します。(6バイトまで指定可能。多分、先頭である必要もないと思う。)
ビーコンのUUIDの確認には、フリーのスマホアプリが落ちていますので、それらを活用するのが良いと思います。
こちらが、前提の設定。AliceとCharlieは部屋ZAGで会議中です。Bobは、一人SFOでWeb会議中です。
4. 結果
想定通り、捕捉できているようです。
AliceとCharlieはほぼ同じ場所で同じビーコンを捕捉していますが、RSSI値が多少差異があります。これは、実現するユースケースで課題になることかもしれませんし、あまり気にしなくて良いことかもしれません。
また、原因は現時点では不明ですが、時々ビーコンを捕捉できていない場合があります。これは、今後また解析を試みたいと思います。(多分、ビーコンのアドバタイズデータの送信間隔と、LBT1のスキャン間隔の問題かも、、、)
↑の素っ気ないログだと、見え方が冴えないので、お手製Indoor Mapを使った可視化もやってみました。
青のピンがBob、紫がAliceで、黄色がCharlieです。
こんな具合で、屋内測位としてBLE搭載LoRaWANノード Dragino LBT1が活用できることがわかりました。
懸念事項については、今後解析するとして、アプリケーション次第で、いろいろな場面で役に立つのではないかと思います。
非常にラフな実験でしたが、不明点、ご指摘、ご要望、いろいろご意見をお聞かせいただけると幸いです。
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