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ローコードアプリ開発事始 〜 AppSheet中心に

先般の政権交代により、”デジタル”なんてことが一般の方々にも耳に入るようになり、”行政手続き”を始めとし、やっとこさ、この日本も重い腰が上がるのかな?という兆しを感じなくもない今日この頃、いかがお過ごしでしょうか?(ま、意識改革的な部分があるので、結構難しいことではある)

デジタルといえば、ICT。情報技術から構成される業務システムなど、基本的には目に見えないもので構築されているので、業界の人でないと、その中身がどんなものかは想像すら難しいところですね。

でも、建築物も目には見えるけど、そこで使われている工法とか、詳しいことは業界以外の人はなかなか理解ができないものです。なので、ICTだけが特別ではありませんね。

さて、その見えづらいITシステム、ことソフトウェアにおいては、機械語から高級言語が作られ、今日に至るまで、その界隈の人々は、

いかに簡単に、素早く、期待される品質でソフトウェアを作り、アプリケーション足り得るものを構築するか?

ということを追求してきたような気がします。(と、理解している。)

そして、その時々で、様々なソリューション(解決策)が提示されてきたわけですが、近年、欧米を中心に、プログラミングを(ほぼ)することなく、Webアプリやモバイルアプリ、はたまた業務システムまでをも開発可能とする「ノーコード/ローコード開発ツール・プラットフォーム」が、システム開発業界に台頭しつつあります。

1. 巨人G/A/Mと業界動向

と、書き出しのは良いのですが、ぶっちゃけた話「ノーコード/ローコード開発ツール・プラットフォーム」とはなんぞや?を定義するのが難しいです。

(今、この執筆時点で、原文にたどり着けないのですが)ある記事(The No Code Development Landscape: Every Tool To Create Without Code, Categorized)で、いわゆるカオスマップ的なものが紹介されています。

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こんな時は、米ガートナー社に頼るのが常です。案の定、ありました。「企業向けのローコードアプリケーション開発プラットフォームに関するマジック・クアドラント」

Gartner Magic Quadrant for Enterprise Low-Code Application Platforms

IT業界としては珍しく、"Made in Japan"としてKinton(キントーン)が挙げられてります。これは、素晴らしいことです。そう、なんとなく、”キントーンみたいなもの”という理解がいいかもしれません。

ちなみに、米フォレスター社の調査レポートとして、こんなのもあります。

The Forrester Wave™: Low-Code Platforms For Business Developers, Q2 2019

こちらにもKintonが上位にノミネート。素晴らしいですね。

ということで、大手の調査レポートのテーマにもなるほどに、一程度の”業界”が成り立っています。

そして、米IT巨人Google, Amazon, Microsoftも、その波を逃しません。

まず、Google。自社開発していた「App Maker」を捨て、"AppSheet"を買収しました。少し前に、UIデザインがGoogle風味に変わり、GCPへの統合が進みつつあることがわかります。

Google acquires AppSheet to bring no-code development to Google Cloud

次に、Amazon。2020年6月に”Honeycode"をβローンチしました。まだまだ、Google Formに毛が生えた程度という評価もあるようですが、これからが楽しみです。

Amazon Honeycode の発表

エンタープライズ領域では、Microsoftは負けるわけにはいきません。過去、様々な買収もしてきました。そして、現在、"Power Platform"というブランディングで、統合的なオファリングをしています。Power Platformは大きく4つの製品群から成り立つようです。Power Apps, Power Automate, Power BI, Power Virtual Agentsです。業務システムという観点では、Power AppsとPower Automateが主軸のはずです。

”道具”の提供サイドの動向は、この通り活況に見えます。一方、それを活用する側(需要側)の動向も気になります。

実はすでにこのようなローコードアプリ開発プラットフォームを使い開発されたサービス(ビジネス)が、(米国でも日本でも)、別企業により買収されるというような事例が出ています。

ビジネスモデルの仮説検証段階では、

- ITシステム開発に時間を奪われたくない
- 手元資金が限られているタイミングで優秀なITエンジニアを多く雇用できない

というような課題があり、ローコードアプリ開発プラットフォームは有用なツールであることは間違いないはずです。

2. AppSheetとは?

数年前、とあることがきっかけで、Microsoft Dynamics(SaaS)をベースにした業務システム開発の一旦に触れる機会がありました。

Microsoft Dynamicsと言えば、だいぶ昔から存在していたSME向けのCRMパッケージでした。当時は、なんとも鈍臭い感じがしつつも、欧米ではそれなりのポジションがあったように思います。

ナデラCEOに変わり、MSもクラウドへのビジネス移行が急ピッチに進み、Dynamicsもその流れにありました。そして、Power Appsという名でSaaS型のサービス展開を拡大していくそんなタイミングだった気がします。

これ、面白いかも

とふと思いました。

それから少し経過して、SMEな経営者などから、”お金ないけど、デジタル指向でいきたい”と相談されました。もちろん、業務フローがきれいに整理されているわけでもなく、予算があるわけでもない。要するに、

”ないない”あるある

です。

Power Platformという選択肢も良かったのですが、折角なので違うものに触れてみたいと思い、AppSheetを使ってみることにしました。(Power Platformより、かなりカジュアルに使えるイメージでした。何せ、Google買収なので。)

いろいろ調べると、こんな特徴がありました。(他のプラットフォームを細かく調べていないので、当たり前な点もあると思いますが、ご容赦を)

- “No-Code”、”Agile”、”Powerful”という側面に力点を置いたプラットフォーム
- まずは(ほぼ全機能を)無償で始められる
- 参考になるサンプルアプリがそれなりにある
- PC/タブレット/スマホ向けの画面が自動で生成される(ので、機種とか気にしなくていい)
- 業務設計とそれに適したテーブル設計が多少できれば、さくっと作れる
- スプレッドシート、Office365、AirTable、MySQLなどをデータソースとして利用可能。(CDATA API Serverと組み合わせれば、データソースのカバレッジは無限大)
- Google社により買収されたことにより、今後ますます機能拡充やGoogleの他サービスとのシームレスな連携が進むと思われる
- 日本でも公式サポーターが存在(VENDOLA Solutions LLC)、主にVENDOLA社が日本語での情報発信を行なっている
- Facebookにもコミュニティが存在し、活発な議論がなされている(日本語の情報も少しずつ増えてきた)

結構、期待感が高まります。が、1点、日本マーケットという意味だと厳しいのが、現時点では「開発者用画面は日本語未対応」ということです。

すでに当社では、いくつかの業務システム(と言っても、小さいものですが)をAppSheetで提供しております。インタフェースという意味ではなく、提供されている機能を熟知でき始めると、おおよそのことは実現可能だと思い始めています。非常に面白いです。

ちなみに、AppSheetの開発チームのプロダクトマネジャーや設計担当者は、相当程度、ITシステムについて熟知・経験のある人であることが想像されます。私のしょぼい知識では、こんなすごいものは作れないなぁと思い、ひれ伏すしかありません。。。

3. AppSheet、事始(プロローグ的な)

今後、この連載では、まだまだ日本語情報も少ないので、業務アプリを作る上での”AppSheetのTips"的なことをご紹介していければと思っています。

で、開発したアプリをご紹介したいところですが、守秘義務の関係もあるため、それはできません。

ということで、まずはAppSheetでどんなことできるのかな?を体感いただくために、なんと、超実験的な試みではありますが、当社の公式WebサイトをAppSheetで作ってみました。(構想10分、コンテンツ整理90分、実装30分 程度です)

では、本邦初公開、当社非公式Webサイトです。

https://unofficial.veinz.tech

※上記からすぐにAppSheetのドメインにリダイレクトされます。

次回以降、より具体的な内容に触れていきたいと思います。

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