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宇宙を歩くための勇気 『君と宇宙を歩くために』感想

連載開始から毎話泣きながら読んでいる漫画『君と宇宙を歩くために』がマンガ大賞2024を取ったり、フォロワーが講談社コミいろフェア2024のために買ったのに合わせて読み返して感想を話していたりしていたらこの気持ちを記しておきたくなったので忘れないうちに書いておこうと思う。
(読み返したら半分ぐらい自分語りでした。恥ずかしすぎる。感想じゃないかも。)

『君と宇宙を歩くために』は〝普通〟ができない正反対の2人がそれぞれのやり方でこの世間という広い《宇宙》を歩くためにお互いに尊敬しあって、歩み寄って、影響し合っていく話だ。


※なんか特性を決めつけるのは失礼みたいな風潮もあるけど、私は当事者として生活に困るって自分が思ったら発達障害だし、その人がその特徴とうまく付き合っていて生活に困ってなかったら発達障害じゃないと思っている。その中でこの特性が強いなって理解するのは自分が《宇宙》を歩いていくために必要なことだなって思っているし、自分が相手を理解する手助けにもなると思っているので特性があるって書いてます!不快な人はこの先読まないほうが良いです!回れ右!


隙あらば自分語りをしてしまうのだが、自分は大学で病気の勉強すればするほど自分は発達障害があるんだろうなという気付きがあり、実際に実習時にサポートが受けられるようにという打算的な理由で大学3年生の時に病院を受診してADHDほんのりASD乗せの診断をもらった。

思い返せばASDの傾向は小学生低学年の頃に顕著に出ていたなと思うし、昔から今までずっと忘れ物と失せ物の天才だ。薬の副作用と効果を天秤に乗せて内服なしでも日々の対処行動でなんとか生活を送れているので、先生の方針もあり今はなにも内服していない。

この対処行動っていうのは小学生の頃は常に過保護の母親に予備のハンカチ/ランチョンマット/箸の予備をランドセルにいられていたこととか、大学生の頃は常に手帳と鍵と携帯をカバンに入れ持ち歩きリュックへはそのカバンごと入れるとか、今なら鍵を帰ってすぐ入れる場所を作ってるとか、スマートスピーカーがスマホを鳴らしてくれるようにしてるとか、(スマホを首から下げるのが流行ってくれて本当に助かってる)そういう行動の積み重ねで、それでも日々沢山の忘れ物と失せ物と遅刻をして生きている。

主人公の1人である宇野くんはASDの特性が強く描かれていて、彼は彼の特性と付き合って投げ出された《宇宙》でまっすぐ歩いて行くためにノートな必要なことを書いて自身の命綱(テザー)としている。
彼ははじめてできた友達の小林くんのことを友達がいて、普通の生活ができて、騒がしいところも得意で凄いと思っている。

宇野くんに凄いと思われている、もう1人の主人公である小林くんはADHDの特性が描かれることが多い。(LDもあるかも)
友達がいて、普通の生活ができて、騒がしいところも得意だけど、文字はすんなり頭に入ってこないし、行動の順番は思いついた順にするから漏れがあるし、ふと置いたものを忘れるし、テストだって全て赤点を取ってる。そんな小林くんは宇野くんのことを自分と向き合って壁を乗り越えようとしてるし、集中して勉強もできるし、好きなものがあって凄いと思ってる。


彼らだけでなくコミュニケーションが下手くそで希死念慮のある部長もでてくるし、ずっと親友だった小林くんに自分の理解できない友達ができて複雑な思いを抱えている友人も出てくるし、良い人として出てきた人にも抱えていた暗い過去があったりする。

宇野くんと小林くんが出会って、お互いのことを尊敬しながらそれぞれ壁を乗り越えて《宇宙》の歩き方を学んでいくことが周りの人達に波及して少しずつ2人の周りを取り巻く《宇宙》も変わって、周りの人達も《宇宙》の歩き方が変わる。

これって現実もそうで、みんな大なり小なり《宇宙》を歩くためにテザーを持っていて、みんな1人1人の正解があって、《宇宙》を歩いている。


彼らが必死に《宇宙》を歩いていこうとするその輝かしさに、かつて《宇宙》の歩き方がわからず、今思えば下手くそなコミュニケーションをして《宇宙》を藻掻いていた頃の自分が重なって泣いてしまうのかもしれない。

これは余計な自分語りなのだが、昔から科学が好きで空が好きで、高校生の頃は天文部だった人間なのでそんな点でも感情移入してしまうのかもしれない。クリーンヒットすぎる。うちも《宇宙》を歩くのが下手くそな人間たちの楽しいけどぐちゃぐちゃしたところもある人間関係の部活だった。


作者の泥ノ田先生も『正解を描きたいわけではない』と呟かれている。

毎日の中で人々が自分の中の大切なことを抱えてこの《宇宙》を歩いていくための自分なりのテザーを探って進んでいく中で、彼らがそれぞれ影響しあって良い方へ進んで行こうとする青春が私達が《宇宙》へ一歩踏み出すための勇気となるのかもしれない。


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