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日向の道を歩けば、きっと人生は輝くよ 漫画メダリストSP6感想


「日向の道を歩けば、きっと人生は輝くよ」というのは私のお気に入りの朝ドラカムカムエヴリバディに出てきた言葉である。
ルイ・アームストロングのOn the sunny side of the streetの一節をこう暖かく訳し、3世代で色々な人生の選択をし(洗濯もして)、悲しみも喜びもある人生の中でそれぞれの選んだひなたの道を懸命に歩いていくお話だ。

メダリストshort program6 男子ノービスAを読んで思い浮かんだのがこのフレーズであった。

鴗鳥理凰は初登場のscore2から鋭い目つきのトゲトゲ少年として登場する。🦔

理凰と光のことを知らないいのりのことは「ブスエビフライ」と呼ぶし、そのことだって覚えていない。

夜が明けるまでの彼は全部持っているのに、それに相応しいと彼が思える成果を残せずにいる苦しみの渦中にいて、その苦しみをトゲとして自らを守るハリネズミとなっていたのはこのnoteを読んでくださってる物好きの皆様ならご存知のことだと思う。


彼が天才少女狼嵜光の幼なじみとして生きてきて、自分の心を守るために(これは光を守ることにも繋がっているのでこちらのウェイトの方が重い可能性も全然ある)良かったことや褒められたことをシニカルに捉えることは4巻でも描かれていたが、最新話でも1ページ目から描かれている。


ずっと夜に囚われていた彼がscore14 朝が来るからずっと日向の道を歩んできたことの成果が自己ベスト更新という形で表れて喜んだ瞬間でも、幼い頃から習慣になってしまっているであろう思考が前日の光の特典を思い出させ熱が冷める。

この熱が引いた横顔が表現できるつるま先生の表現力に唸らされる。


着替えて眼鏡をかけ、眼鏡で世界と1枚隔てた理凰は総太に対して自分に言い聞かせるように言葉を吐く。それでもシニカルな発言だけでなく「早く強くなりたいな」という言葉も出せるようになったことに成長を感じる。


あっけなく掴むことになった金メダル。それでも有力選手であればあるほど狼嵜光を意識せざるを得ない中でいつも光を意識してきた理凰がその中に取り込まれなかったことは彼が歩んできた道が金メダルに繋がったという確かな日向の道なのだ。


「自分のことをダメなやつだって先に言ってた方が悪口言われた時ちょっと苦しくないって知ってる」


ダメなやつって沢山言われてきたであろういのりの発言だからこそ深く刺さるセリフである。何回読んでも泣いてしまう。

小さい頃から銀メダリストの息子として金メダルの特別さを感じてきたであろう理凰の掴んだ、はじめての金メダルは彼が夜に囚われている間も夜が明けてからもずっと歩いてきたからこそ辿り着いた金メダルなのだ。


「ノービスになったら2人で金メダルを獲ろうね!」


日向の道を歩いてきた彼の辿り着いた幼い夢。
その先の人生が輝くものでありますように。


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