見出し画像

鼻に鍼を打つ

アトピー治療で病院系をさんざん試した後、しばらくはデトックスだと思って浸出液をそのままにする状態が何年も続いた。

とある春、花粉症がひどいので耳鼻科に行ったときのこと。アレルギー性鼻炎の症状が重いので、ドクターが強めの抗アレルギー薬を処方してくれた。1日1回飲むタイプの、よくCMで見る薬の強力版。
不思議なことに、その薬を飲んでいる間はピタッと症状が止まるのだった。

「結局、アレルギーなのか」

そう思っていた後、仕事関連で「鍼の神様」と言われる方と食事をする機会があった。

みんないい感じに酔っぱらってきたときのこと、

「あらら、鍼が打ちたいって言ってるよ~」

さすが鍼の神様は、天才と変態の紙一重の判断のつかない台詞をおっしゃり、どこか酔拳を彷彿とさせる動きをする。

「ほらほら~、anyone?」

みたいなことを言いながら、先生のぎょろぎょろした目と鍼が迫ってくる。
助手の方が、えーまたやるのー?と叫びながら、ビニール袋を用意する。

「はい、きっと鼻血でるから、これ持って!」

と袋を渡され、鍼が私の鼻に突きさされる……!

鼻、というか脳とか目に近いあたりを直角にズブッ!ズブッ!と2回ほど、なにかを潰すように。かすかに骨のメリメリッという音が脳内に広がり、気が遠くなるとともに激痛が走り、涙が頬を伝う。元の体勢に戻ると、鮮やかな血が両方の鼻からドバッと出て、なんか「だっふんだ」な状態に……w

「よぉーし出たー!頑張ったね!」
と頭をなでてくれる鍼の神様。
曰く、悪いものが溜まっていた人ほど、たくさん血が出るのだとか。私はかなりの血を排出し、しばらく鼻血が止まらなかった。

お酒が入っていたこともあってか、鼻血が止まるか止まらないかのうちに頭のまわり全体、頭皮とそのすぐ下で、ガンガンするようなビリビリするような痛みがはじまり、耐えられなくなりトイレで嘔吐する。

さらにそのあと、タクシーの中で下腹部(子宮か腸?)の、これまたアウトラインというか膜が痛くなり、脂汗をかきながら自宅になだれ込む。さっとシャワーを浴びてベッドに入ると、なんだか熱っぽい、というか明らかに発熱している。だるい。暑い。ちょっと汗かいてるぅー スーーーッと朝がきた。

気分がいい。

息がしやすい。体が軽い。

驚いたのは、その1回で、アレルギー性鼻炎がどこかに行ってしまったこと。花粉の季節は必ず、耳鼻科にお世話になっていたのに、それ以来ずっと行ってない。

これは、アトピーの方もいんじゃないか?

期待を込めて、例の患部を見てみると、全然。浸出液がTシャツにはりついて痛かった。

と、このときは、アトピーについては何も変化がなかったものの、後にこの先生の書いた本に、アトピーを治すヒントのひとつを見つけたのだった。

3年経った今でも、耳鼻科にお世話にならずにすんでいるので、感謝しかない。かなりの激痛を覚悟せねばならないが、また関東圏へ行く機会があったら、お願いしたいと思っている。


P.S. 酔っぱらっていたから記憶が定かではないけれど、鍼ではなく、居酒屋のプラスチックのお箸だった気がする。鼻に突っ込まれたの。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?