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小説「ニキ」

ふつうの人に擬態した深刻なまでの真性ロリコン教師とアスペルガー傾向のある生徒の奇妙なやりとり。

普通じゃない、普通になりたいと願う生徒と教師は心が通ってくる。

やがて、いじめが始まり、しかし大逆転がラスト。

ロリコンぶりは抑え気味に書かれているが、冒頭の生徒の疎外された感じなどが正直ツラかった。

しかし、共感する人もいるかもしれないと、書いている。

いじめは「正義」を掲げる人間の欺瞞も見え隠れするが、常識と感情で武装した「大勢」の不気味さも秀逸。

そして大勢が主人公の機転で崩れていき、多様性を感じさせる。


本作のテーマは普通と、ロリコンと、と際どいものだが、排除しても排除しても、生まれてきてしまう現実を前に、多様性や寛容、寛容されるマイノリティの姿が描かれている。

正直、小さな平和に落ち着く本作だが、マイノリティの適応の努力の儚さも思ってしまう。

存在として責められてしまう真実を持つ人々の声が見えた気がした。

あなたは目をそらさずに読めるか。

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