ある人間に興味を持った侵略者

 私たちは人間で言うところの200年ほど前にこの地球に降り立った。人間は私たちを攻撃し撲滅しようとしたが、ただの一度も人間が作ったモノの攻撃が通ることなかった。逆に人間が私たちを攻撃しようとした際に土地が傷つき、資源が減ったことの方が問題だった。
 原子力爆弾を使用したせいで日本という国は二度目の大きな被害を被った。哀れなことであった。人間たちは攻撃するのを止めると今度は私たちを神として崇めた。
 私たちは私たちの暮らしを邪魔されなければよかったのでそれでよかった。そのまま私と人間たちは共存することに成功した。
 そんなある日のことであった。私は町を歩いていると一人の人間を見つけた。それは人間で言うと30代ほどの男であった。人間の区別などつかなかったが私はその人間だけは他の人間と違うように見えた。
「人間、そこでなにをしている」
 人間は私の声を聞くと急いで振り返りそして顔を苦痛そうに歪めた。
「私でしょうか?」
「そうだ人間、お前だ」
「はい……神様が私なんのようでありますでしょうか?」
 人間があまりにも怯えているので私は人間と同じような形に変えた。人間が落ち着くであろうと思い女の姿をさせた。
「人間、なにをしている」
 再度私が問うと人間は震えながら答えた。
「落とした財布を探している所です。」
 人間はそのまま腰を抜かし地面に尻を着いた。
「そうか」
 私は瞬時に人間が探している財布を手の中に出現させた。そうして人間に財布を投げた。
「これだろう」
 人間は驚いた様子で人間の小さき時のように慌てながらも財布を受け取った。
「神様、ありがとうございます」
 恐れながらも私を見るその顔を私は愛おしく感じた。
「なに別に私としては大したことがないことだ」
 人間が喜ぶ顔がもっとみたいと思って私は手のひらから適当に札束を出して、地面に落とした。
「これも使うとよい」
「神様、これはえっと……私が使っても良いのでしょうか?いやしかし、私はあなた様に近づくのは恐れ多いです」
 人間は私が落とした金に目を向けながらも未だ警戒したように私に近寄らない。
「そうか、それなら良い。またな」
 私はそうして人間の元を去った。
 それが私と人間の初めての出会いであった。


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