尻からアロワナ(に似たもの)
便意を感じてトイレに行った。そのまま用をたそうとリキんだら尻から感じたことのない感覚が感じた。それはにゅるりと出てきて、ちゃぽんと落ちた。
トイレットペーパーに手をかけた手を止めて見るとそこには中くらいの見慣れぬ魚がいた。
「うわっ」
私は目を擦り、もう一度確認するがそこにはまごうことなき魚が一匹泳いでいた。渡曽はなにがなんだかわからなくてそのままトイレに流した。魚はトイレの中に消えていった。
そこからである。私の便が全て魚に変った。あるときは小魚であるときはアロワナほどの大きさの魚になった。アロワナを出した時は、トイレが詰まって業者に来てもらった。
業者からは「不法投棄するならトイレじゃなくてその隣の川にでも捨ててください。」と軽蔑されながら一言言われた。
「へへ、すいません。」
私は薄ら笑いを浮かべながら答えた。この尻から出るものをどうすれば良いのだろうか。私はその日以降便意が来たらトイレに流すのではなく、そのまま燃えるゴミの中に入れることにした。
尻を突き出しながら燃えるゴミの中に入れる様はおおよそ成人男性、いや中年男性のするべき構図ではなく私はたいそう心の中で自分を恥じた。
尻から魚が出るようになってから外で便を出すことに躊躇いを感じた。またトイレを詰まらせてしまったらよくわからないがなんらかの法に触れてしまったら嫌だからである。なので私は大きなごみ袋を常に持ち歩くようになった。バックは常に生臭く、家もなんとなく生臭さが常につき纏っていた。
三か月ほど経ってからだろうか、今日も今日とて便意をもよおす日々であった。ある日私はアロワナほどの大きさをゴミ袋の中に入れて思った。
この魚売ったらどれくらいなのだろうか。
試しに名前の分からない魚としてオークションに売った。すると驚くことにそれは10万の値がついた。
「この魚をどこで手に入れたんだ。」「この魚はなんなのだ。」「不思議と惹かれる。」
多数つくコメントに私は困り気味に答える。
「秘密です。」
ハハッ尻から出たと言ったらどれほどの人が信じるだろうか?
半年たったらそこそこの貯金が私の懐に入り、仕事をする必要がなくなった。私は正社員として長年働いていた会社を辞め、田舎の池がある巨大な家を買った。
私は今日、尻を池に突き出し便をもよおす。
この魚はなんなのか、私はなんになってしまったのか。分からないことがたくさんあったのであるが、金が入るのでそんなに知ろうとは思わなかった。
今の楽しみは、定期的に来るヘルス嬢に尻から魚を出すところ見せて驚かせることであった。
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