【日記】コスミスミコにはなれないの
こころばかりの物を献上したいと思わせる子がいる。
過去にたわいもないお土産をあげたときににっこりと笑い、全身で喜びを表現してくれたから、またあげたいと思わせる可愛らしい子。
私以外の人も同じようにその子のことを可愛がっていて、別の人たちは彼女にお食事券だとか良質な石のピアスだとかを献上しているようだ。
プレゼントを気持ちよく貰って相手の気分を良くさせるだけではなく、奢られ上手という種類の人たちもこの世の中には存在する。
彼、彼女らは往々にして相手からの申し出を下手に遠慮せず、素直に相手の好意を受け取ることができる人たちだ。
彼らの奢られるときの笑顔はそれはそれはチャーミングで、まるで川上弘美の作品に登場する「コスミスミコ」のよう。
私はと言えばあまり奢られるのが得意なタイプではない。奢られると少しばかり恐縮してしまうので、同じだけ支払って対等でありたいと思うタイプなんだけど、客観的に見てこの考えがもう可愛くない。
「ここは私が」
食事などのあとにお相手からそのように申し出を受けると、いえいえそんな、割り勘にしましょうよと二度ほど断り、いやいやご馳走させてくださいと何度か言われれば、そこで初めて折れてありがとうございますと引き下がる。
頭のなかでは次の食事会はきっと私が奢る番になろうと考える。そうでなければ同額のプレゼントを何か持参しようか。
……やはりこの思考も可愛い女のそれではない。
※前回奢ってくださった方、次は私が奢る番ですので楽しみにしていて下さい。
昨日の旅行で博物館に寄ったとき、お土産コーナーに猫のシールが売ってあった。江戸時代風の様々な猫のシール。
手に取ったときに冒頭の彼女のにこっと笑った顔が頭に浮かんだ。
買っていってあげたら喜ぶだろうなあ。この前持っていたセミオーダーの素敵なノートに貼ってくれだろうか。
私以外の彼女を愛でている人々もそう思っているのかもしれない。
彼女なら大事に使ってくれるかも、彼女なら喜んで受け取ってくれるかも。
そんなことを考えながらシールを2枚買って、お揃いにした。
手帳も使わない、最近は手紙も書かない私にシールの使い道なんてあるだろうか?
買ったあとにふと思ったけど、まあ良いことにする。
※博物館のお土産品は目移りするものばかりで石油王だったらすべてを買い占めているところでした。
※献上しているばかりではなく、彼女からもたくさんの物をもらっています。
ふくろうのボンボンがついたヘアゴム、星が散らばったボールペン、毛糸で作ったモコ、ミニキャンバスに描かれた油絵等。どれも可愛くて宝物です。
頂いたサポートはやすたにの血となり肉となるでしょう🍖( ‘༥’ )ŧ‹”ŧ‹”