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【エッセイ】HELP

はじめにお断りをいたしますと、
救急車に乗るつもりはなかったんです。

よく聞きますよね。
救急車の台数が足りてないのにタクシー代わりに救急車を呼ぶ患者がいて迷惑だって。

だから私が昨日深夜に尋常でない腹痛を感じた時、まずは救急車が必要かどうか判断可能な
窓口に電話しました。

そう、昨晩の夕食後、突然の腹痛に
襲われたのです。

5分置きに起こる猛烈な痛み。
腸の中ではおぞましい重機でもって、
新しい東京メトロの新線でも掘られているのかと思うほどの痛みでした。

トイレでマーライオンしながら、
なにが原因だ?食べ過ぎか?食い合わせか?
あれなんで同じの食べた夫は全然平気なんだろ、昼食べたシラスがちょっと生臭かったな、でもそういうのってすぐ排泄されるよなと
思いながら頭クラクラの酸欠状態で丸まっていました。

それで話は戻るのですが、ソファーに仰向けになりながら携帯電話でそのダイヤルにかけました。

いま誰がかけているのか
どんな状況か
いつから起こったか
冷や汗やあぶら汗はでていないか

などを聞かれ、マジで召される5秒前と
思いながら朦朧とした頭で回答すると、
では救急車を呼ぶのではなく
近くの夜間診療病院の連絡先を教えるとのことでした。

「ですが、辛かったら無理せず救急車を呼んでくださいね。この窓口に連絡したことも伝えてくださいね」

としっかり、ゆっくり安心させるように伝える話し方は、
対応品質100点だな、同業者としてあとで後刻お礼したい気持ちでいっぱいだわとフワフワとした頭で考えるも、いっぱいいっぱいになった私はそこでセコンドの夫に電話機をパスしました。

いよいよ失神するかもしれない。
陣痛絶頂で床にうずくまる私、
そのあとタクシーを呼んでもらおうとしましたが、
あ、これ動くの無理だ。
と思った瞬間

「ごめん、やっぱり救急車呼んで!」

と叫んでいました。

ほどなくして救急車に乗り込む私と夫。
(なぜか救急車が到着した頃は動けた)

担架の上で問診を受ける私。

途端に先程までの地獄の腹痛が
ピタっと止まる私。

え、ちょっと待って!今腹痛来なかったら

タクシー代わりに救急車呼んでる人になっちゃう!

焦る私。

腹痛来い来い来い来い来いよ。
なにしてんだよ今来いよ!

腹痛ピタっ。

病院に搬送されるまで一度も腹痛来ず。

救急車に乗ってるおっちゃんたちすごく優しかった。
お礼の手紙、いやお詫びの手紙書きたいくらいです。

病院の待合室でようやく嵐のような腹痛が来て、これこれこれなんすよ!めっちゃいたかったんすよ!
と演技なしに苦しんでいたら女医さんが

「これは…ただ腸の蠕動運動ですね」

とひとこと言って診察終わり。

え、なんか生理現象で片付けられた。

診断が全然腑に落ちないままタクシーに乗って帰宅しました。
蠕動運動って母体を揺るがす動きするの…。
とりあえずノロとかではなさそうだけど。

そんな中、今日会社に出勤した私は
ハイパーエライと思った。

隣の席の人も救急車に乗った瞬間に
症状がピタっと止まった経験を持っていて、
「救急車に乗った瞬間、一時的に症状が
収まる現象」というのはあるのかもしれないと思った。
安心するし。

救急車の利用が正しかったかについては
今も悩むところですが、
昨晩は本当に身の危機を感じての行動でした。

あのとき、電話の向こうで言われた

「辛かったら無理せず救急車を呼んで下さい」

のひとことがどんなに救いになったか
わかりません。

ありがたいことです。

#エッセイ


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