逆鱗レプリカ
※「ら、のはなし」進捗。現在、城戸圭一郎さんのら、のはなしのプロットを作成しています。
いちにちの終わり。
朝から晩までワンデーコンタクトをつけたままにしていると、コンタクトの方から「頼むからもう手を切ってくれよ」的にレンズの乾燥がダイレクトに伝わってくる。
眼球に右手の人差し指と親指を当てペキョと、蒼いレンズを外した。世界の半分がプールの中に沈む。
「ねえ、見て。目からウロコ」
指に張り付いたお椀型のレンズを見せながら不気味に笑う私をみて、くっだらないと笑ってくれる君が好きだ。
ワンデーコンタクトレンズは外した後に数時間台の上に放置するとカピカピになって、まるで龍の鱗のようにみえるよ。綺麗。
朝起きて君にカピカピのレンズをつまんで「ねえねえ、見て。龍の逆鱗。触れてみる?」と訊ねれば、くだらないこと言ってないで早く捨てなよそんなのと呆れ顔でゴミ箱を取ってくれる。
視力矯正器具がなければこの世界の物と物との境目がいとも簡単にファジーになってしまうほどの近眼で、こうして君と密着していないと君の顔の造形を、私が好きな君の顔をしっかりと認識できない。
裸眼である私の視界に入るのはあたかも水中に潜ったような世界。それはとても心細くて曖昧だからやっぱりくっついていたらいいと思うのよ。君に。
そうしたら龍の逆鱗なんてなくてもへっちゃらだからさ。
頂いたサポートはやすたにの血となり肉となるでしょう🍖( ‘༥’ )ŧ‹”ŧ‹”