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小説「汝、星のごとく」を読んで

本の帯には、
「10代で恋に落ち、20代で別れた二人が、30代で求めたものは。」
「あの恋は、たった一度運命だった。」とあって、一気に凪良ゆうさんの世界観に引き込まれた。

先日、わたしは、30代最後のお誕生日を迎え、「30代で求めたものは。」が他人ごとではない30代。たったこれだけの文章から、恋愛小説では済まないことを感じ、読みたいと思っていた。
読みたいから、今度買いに行こうと思っていたら、ひょんなことから、わたしの手元にやってきて、読み始めた。


わたしが凪良ゆうさんに出逢ったのは、この本が最初ではなく、「流浪の月」が最初だった。2020年の本屋大賞を受賞した作品。
凪良ゆうさんの紡ぐ言葉の美しさとやさしさと深さ。小説の世界線だけど、小説の世界だけでは終わらない。まるで自分にも重なるところがあるような気がするし、主人公の身になれるような感覚。
わたしが本を読む理由は、そういったことからなのかもしれない。自分が体験できない世界を、小説の主人公に重ねたり、もしくは感性を育てたいと思うから。

「何度でも言います。誰がなんと言おうと、ぼくたちは自らを生きる権利があるんです。ぼくの言うことはおかしいですか。身勝手ですか。でもそれは誰と比べておかしいんでしょう。その誰かが正しいという証明は誰がしてくれるんでしょう」(中略)
「正しさなど誰にもわからないんです。だから、きみももう捨ててしまいなさい」 

『汝、星のごとく』より引用


いつだって、本を手に取るときは、リアルな世界とリンクする。
今、考えてることの答え合わせをするような、背中を押してくれるような感覚。
考えても考えても、自分ひとりでは答えが出ないところを、リアルでコミュニケーションも取りつつ、わたしのことを何も知らない第三者からの意見を聞くような気持ちで、本を読んでいる。


驚くことに、毎回、本を開けると、その時に欲しい言葉が、降り注いでくる。


誰かと比較して、自分は劣っているとか、秀でているとか、どうだっていいのに、みんな競争社会でなんとか生きていこうとする。
本当は、そんなことは、どうだっていいのに、どうしたって世間がそのベクトルで回っているから苦しくても抜け出せないでいる。

生きることの自由を奪われるほど、苦しいことはないし、
自分の人生は、自分だけのもので、誰かに左右されるものではない。
改めてそれを教えてくれた「汝、星のごとく」は、上半期の最高傑作だと思う。


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