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クラブ経営の本質

Bリーグでは、クラブ経営に少しでもお役に立てるようにと始めたBMB(B.LEAGUE MAMAGEMENT BASE)というものがあります。2月に本件についてはこのnoteでも投稿しました。

実はそれとは別にアリーナ共有会という、将来構想に向けて各クラブが各所でアリーナ問題を解決するための勉強会を開催しております。本日はその第3回目となりました。ゲストスピーカーとしてお招きしたのが岡田武史さん。皆さんご存じのサッカー元日本代表監督として2回のワールドカップに出場した名将でもあり、現在は今治.夢スポーツ代表取締役会長、Bリーグの理事もお願いしております。最近はJFAの副会長にもなられましたね。とにかく、私が言うのも烏滸がましいですが、経験豊富で有能且つ人格者です。私もそんな岡田さんに惚れ込んでダイレクトにBリーグ理事のオファーをさせていただきました。日本代表の選手、日本代表の監督、サラリーマン、経営者、すべて経験しているスポーツ界でもトップ、稀有な方です。

そんな岡田さんにご無理を言って現在今治で行っている里山スタジアムプロジェクトについて、また、7年半前にクラブを立ち上げてから今日までの想い、苦労話、取り組み事例などを赤裸々に語っていただきました。

本当に素晴らしいお話で参加したクラブ経営者もオンラインでしたが、目から鱗だったのではないかと思います。私自身も久しぶりに引き込まれた1時間でした。岡田さん、本日はオーストラリアとのW杯最終予選の解説もある中、お忙しい中、本当にありがとうございました。

今まさに、サッカー日本代表がアウェーでオーストラリアに2-0で勝利し、7大会連続7度目のW杯出場を決めました。おめでとうございました!

全体を通じてクラブ経営にはやはり理念が一番大事だということを最初に訴えておられました。今治の理念は、「次世代のため、物の豊かさより心の豊かさを大切にする社会創りに貢献する」というものです。素晴らしい理念です。創業した当初は経営経験もなくとにかくどこから何を取り組んで良いかわからないということで、この理念に合致しているかどうかを判断軸としていたそうです。その思いで愚直に地域で活動をして実績と信頼を積み重ねて少しづつ前進してきたとのことです。これは心から同意です。周りから信頼されるというのは一貫性が必要で、その思想の原点が理念、クラブの存在意義となるのだと思います。

今治、15万人の人口で5000人のスタジアムを満員にすることは出来ない、2000人くらいの来場者がいてもサッカーを観たくて来ている人は少ないという前提で、いかに会場に来たらワクワクするか、新しい出会いがあるか、サッカー以外のニーズにこたえていくことを心がけたそうです。ここは全てのスポーツビジネスに共通する話で興味深かったです。サッカ人であり誰よりもサッカーを愛し、その魅力を知っていて人がこの視点で事業を行えた凄みを感じます。いかにご来場いただく人たちを楽しませるか、時には瀬戸内海ということで村上水軍をコンセプトにして海賊の服装でお客様をお迎えしたこともあったそうです笑 ご来場者を楽しませるために徹底して努力した結果、5000人のスタジアムに5200人来場されたそうです。この観点がクラブ経営においてとても大事だと思います。何のためにこのクラブが存在するのかという理念、根幹を大切にしているからこそブレずに実行し続けることができるのでしょう。

簡単に地方創生といってもいろんな観点がありますが、岡田さんは、「そこにいる人たちが生き生きと生きることができること」クラブはそれを手助けする。もっと大きく捉えるとAIなど便利なテクノロジーが私たちの生活をサポートする、しかし、確実性は高まるが、不確実性から生まれる人間性を取り戻す、試合がある日だけでなく365日、地元の皆様が集まれる場として里山スタジアムは構想されているとのこと。今こそ、スポーツ、クラブをハブに人間らしい関わり、触れ合いを増やしていくくとで精神的にも人間らしい生活の場が広がるようにしていきたいという思想に心振るわせられました。

クラブ理念実現のため、大なり小なり無数の努力をされていることが話を聞いてわかりました。全て明示できず残念。岡田さんの発想が共助の社会を創る、ベーシックインカムだけでなくベーシックインフラという言葉を使われていました。

食事もままならない子供は全国的にも実は多いのですが、今治はファンクラブに入っている子供達の生活の最低保証というものをうたっているそうです。農業やフードバンク、オープンキッチンなどを作ったりと。知恵と工夫で社会に役立つ取り組みを愚直に行うことの競争優位性を強く感じました。

たくさんお話をいただきましたが、スタジアムの建設を実現する岡田さんの凄さはもちろんですが、一番大切なことは地域における信頼だなと思いました。理念実現のために愚直に行動し続け、信用と実績の積み重ねが信頼となります。この信頼があるから大きなプロジェクトも実現するのでしょう。まさに、この人、このクラブのためなら協力しようとする自治体や企業、市民も出てくるのだと思います。

私たちも競技はバスケ、スタジアムではなくアリーナを通した地域活性化をうたっています。いくら地域に訴える知識、情熱があってもすべては日頃の行動、実績に基づく信頼がすべて。ことを成すには地道な活動をいかに徹底できるか、これに尽きるとあらためて思います。千里の道も一歩から、夢を語り、理想と現在地との激しいギャップに途方に暮れることもあると思いますが、信じて頑張るしかないと思います。これはクラブもリーグも一緒、Bクラブ、リーグと力を併せて頑張りたいと思います。

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