花 火
白井健康
ひとのはなびらや湿りをときどきまちがえる
触れることの弱さを露呈するとき
にんげんとしょくぶつのちがいなどわずかだ
場所ではなく鼓動のさきのうごきは
ときにあなたをかなしませる
不規則な乱れはやさしさのはじまり
むこう側へ突き抜けるかのような
こちら側への引き潮のあまりを
受け渡すとき
粥のような目眩を
その一瞬の移ろいを
からだから失い
繋いでいくためなどと
つづけることもできる
せまい全体を通して縦は横になり
しばらくはページを閉じることができない
「うまれるっていうこと」
の、言葉を発した途端
の、残光のつづり
花台に置かれたしょくぶつの
色のちがいを含みつつ
つぎのあかしをふたり待つのだ
#花火
#詩