塔
やり直しのきく夢をみたうっすらと足首に苔がこびりついてる
ロードローラーにまとわりつく笑気アメリカへ行こうと誘われる
こちらから遠くに隔てられている塔へは行かない、ここがうれしい
電車とバスを乗り継ぎ行ってみようかと場ちがいなのは分かっているが
無灯火で自転車を漕ぎいけるところまで突きあたるところまで、いく
事務室は折りたたまれて几帳面に十五平方センチメートル
うっすらと積もるあなたのためらいを人差し指でふっと葬る
キンモクセイの匂いを横に通り過ぎ部屋の匂いがわずかに混じる
はだの内気のほのかな底に目をとられ星の消えゆく時間が過ぎる
しらじらと離れて冷えてゆく、ならばひとまず言葉を疑いはじめる
羊たちは伸びたり縮んだり手話にお互い溢す米のいく粒
#短歌
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