詩的実験(6)

詩的実験(6)

消えては立ち戻る直線の
思想を石の中に混ぜる
血のようにひろがって
ゆくなかで読んだ
蛇の目をもつ王国の隅っこへと
捨てられた反古に書かれていた
そもそも最初から決まっていたことばしか
口にしなかった
空の根である反射光は
ロータリーを巡り
夜から飛び立つ鳥の
はじめてのくちづけを
出口の見えない通路に
鏡のなかをひかり続ける
ずっしりと重たいのだ
疲労した葉葉の旅路のために
窓は脱皮しなければならない
磁場の範囲の後悔を
海へながしても
粘膜は剥がれてゆく
忘れるために愛したのだ
けれど蛸に似たロバがときどき歩き廻る

眼のなかの蛹は手指を産むだろう
心臓にいるシナプスにいる
爪ふたつが血のようにひろがってゆく
話す、疑う、怯える、受け入れ

#詩

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