詩的実験(4)

詩的実験(4)

地下鉄のイマージュは
ひとのイマージュと部分的に重ねられ
威嚇的なインゲンを許しながら宝物殿へと納められる
時代を遡り、両腕で抱え込む範囲内へと金貨銀貨をばら撒き
分布状況は足で稼いだ地図へと転移され
核廃棄、減衰体制、挙用、医院と連鎖してゆく

構えたのだが、撃つべき方角が定まらない
安全な方角など、どこにもないのだ
急な傾斜地の農地を降り、岩をよじ登り
小屋から道路へと抜け
空へむけて撃った

実験用マウスのもたらす雲の曖昧さを溺愛する
薄く細くつながるひとの名前に笑われる
若くないのだ
樹皮を剥けば血管が剥き出しになり
突然変異の一歩手前の太陽をまともに受ける葡萄の
落ちてゆくさき 海道の風は揺らめく

慈愛 硬い殻の種子
後悔 心臓の閉塞
苦悩 剥きにくい果実の
腕(かいな)から垂れ下がる

内部は燃えやすく
傲慢な朱色を呈する
変色した鱒の群生する湖へと
人権を持たず
恋の季節はくる

丹頂の村から写真が届いた
話はじめるために
叶わないのに
組紐をほどいてゆく

ふいに猫に変じてしまう月の夜の泣いたつもりがいくとつぶやく
わたくしの凹部に水を溜めたあと魚を吐き出すときの舟形
切れ端を拾い集める くつ そう けつ ほとり あわいの どそう くさむら 

#詩

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