ゆひ ゆき たや

ゆひ ゆき たや

ゆひ ふき たや 底翳の星にもたらした次頁の次頁の次頁の
腹のなかにトリチウムだけを温める孵化しなくても裂け目は叙事詩(エピック)
ガラス越しの点滅信号、論文を綴ればふいに詩は隆起する
からだに気孔は九つポエジィは微風や鳥と関係をもつ
またきみの後始末にすぎないけれど目隠しのつぎの林檎を剥いてる
白濁の眸を与えられている病葉の穴から妖精の距離へ
麦の穂の あひ あみ あえ あや あを 娑婆訶 鳩胸の均衡は解かれる
体毛が踝にふれる(つぶてしま)発狂しているかたちよい影
したあとの開いた翅の酩酊に反復ののちの旋律のこと
あのひとのながい雌蕊がうなだれるさまざまな役を演じたのちに

#短歌

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