刻々に近づく

刻々に近づく

伝染病の骨を埋めて噴き上がる噴水塔が建つ海綿に
窓辺から不眠の鳥を放鳥し明滅している星の呼び鈴
トリケラトプスの共同墓地から立ち上がる溜息吐息の通風口が
恋人の匂いにあした眠るとき曲がった虹を青ざめる乳
澄明を内に閉じ込め鳥の眼がうつくしいものを次々殺す
うつくしくひからない鏡のなかのショッピングモールで買いそびれる
象徴的に聳える椰子の撓む音プテラノドンのため息に似て
通気筒を数えはじめてメガネウラが空いちめんを覆い尽くして
闇を飛ぶ鳥を睫毛に添えてみる器用な小指の決意ほのかに
ひとつづつ真珠を離してゆくように樹が星が歌がすべてをうしなう

#短歌

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