脳内震盪(1)

脳内震盪(1)

ゆく人の影で寂しくなる影があなたの影と区別されない
その影に日輪を隠し爆発を身体のなかに閉じ込めている
ひかりを知らない臓器の関係性を
スクランブル交差点が語りはじめる
真ん中ほどから増殖してゆく
鳴きはじめの動物臭
縫合糸の煩悶
チェロの傾斜の譲歩
ベクトルは下方修正され
凹んだ部分の体液が恥ずかしい
風により不気味に消される黒板とまちがいやすい犬サフランの眼
チョークのなかの安楽亭への二軒めの停車ボタンを押してしまった
錬金術師の手のひらから
真珠貝へと満潮してゆく
糸切りのふるえる息の内部の拍節を
っつ、っつ、っつ、っつ、っつっつ、つ、つ、つつつ
放棄して
清潔な白子の射出を
焼きつくしてしまうのなら、いま
稲穂の発狂のなかへ歯並びの良い少年は風を続ける
性欲の楽器のように繋げては春風にかろうじて火を放つ

#詩

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