異葉

異葉

樹海に抱かれて朽ちてゆく生まれかわる間(あわい)を添、天、と展開する 船乗りは裏皮のすわから点滴のように龍を送り込む、混む、虚無 夏葉は形代のかたち 回り続ける雑食の街なのだ 解剖図説にだって記載されないアスファルトの湿りを剥がしてみる 刻の進みが 詩が詩を培養するように雨粒を撫でながら金属臓器は感電し月のひかりは鈍く鎖骨へと忍び込む 鼠径部あたり痂皮の注意書きを開きながら夜のほどろ不可知論を話し終えたあと 長椅子のした樹林に吹く風に承認されながら父は朽ちる 遺言だろうか 溺死した馬が流れ着く すでに使用済みのことばが言語組織学の最初の頁に記載されているという 樹海のなかのことば、事葉、異葉かもしれない

#詩

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