パピエコレ

パピエコレ

蛇と舌をからめたあとの生臭い息を吐き出す
関節が噛み合わず嘘をつきとおしながら
向こうの岸へと向かう
皮膚呼吸に切りかえたあと糸のようにくだる 
と、
背中をバスが通過した
わたしはアスファルトに埋まっている
     *
貼り絵(パピエコレ)として
海に貼られた冷蔵庫のように軽く
移植臓器はひかりを発するまえに出発する
ときに雲間から、肉や葉や血液を送りつづけ
明確に視覚の境界を保ちながら
捕虫網のなかでもがく蝶のように
二段書きの果実を見落としてしまって
ときに差し戻される住所不定のテクスト
がこの星と引き合う

捲られる頁の裏に埋められた褐色の骨が
同じ音素を差し向ける

鳥は空間をもがく連鎖の対となり
鏡を燃やしたり
薄くなった父をひらつかせたことがある
後ろの影のように速く

#詩

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