実験的短歌(2)

実験的短歌(2)

こにこに そこにこ にほいあい ほのかに ほのさきつきの やみのほたるの
もひやけのしりしりさしり島のこと鳥しふるあめのさとふるゆきの

ひとではないひとのしぐさがひとらしい紅いたまごを飲み込む母は
半島のうらがわの胸のあたりまで鳥の遅刻のかかわりあえば
ひとの家の匂いは渦巻貝のなか岬のさきへふたり曳舟
まだ眠る喫水線の上下する体液はすこし濁っているが
擬態する母の翅へと滴して現像液から島が現る
包みごと擦れたような音がする鳥のかたこと地図の切れ端
ひとしずくむかし出会わなかったひとの骨の口真似つばさの惰眠
ふるい背があおぞらがわへ振り向けば処方箋へと書かれた窓枠
聞いたことあるあたらしい義眼の嵌め方を接吻のあとそうでないあと
息衝き穴から くふ くひ くさ の同じではない部屋の くふ くひ くさ ふたつめの
かたことの発条の震え寂しがる影を雀はいつも持たない

#短歌

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