詩的実験(7)

詩的実験(7)

遊歩者(フラヌール)として眼球の後をつけ
身体の少ないあなたを愛した
手袋とそのブロンズの手袋に鼻を押しあて
失ってしまう
カマキリの曲線とアールヌーボーと
宙吊りされる夕暮れがある

おおがさき
とこからかこと 
伏した父から聞きだした

素焼きの器に羽毛を詰めて
霧のなかから鳥が飛び立つ
足元は真っ暗く
紙を燃やしたあとかもしれなかった
あとは盲滅法にひろがる
数学的な空があるだけ
巣には逆らえない
鳥は未亡人
美しい直線と曲線を描きながら
実生のうちにある不幸を
切れ端の紙へ透視する
寄生木は高笑い
居間に飾られた
淡彩画(グリザイユ)のからだの
ほの めら はち あち くずろ ふっと ちち ち ふ

手でおさえるしぐさのなかに森があり朱に染めてゆく
もうひとつの手は
日蝕の煤ガラスのむこう震えだす襞に似ている
ひかりをひらいた

#詩

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