音葬

音葬

標がちがうから
深爪をして
確かめたくなる
うみはうみの
みうの音に
口腔が産道となる
春の儀式の
雨の日の呻きは
永久(とこしえ)の
うみがうみを崩壊する
みうにもどる前日の
うみと呼んだひとのみう
だけが明るい
   *
ことばはうみのおおきさの遺書
かたりつづける水平線の罪
息遣いの擦れ
雨を呑み干すとき
悲しくもないのに
吐き出してしまう
鎖骨とか
ひかがみとか
内水の
羞恥だろうか
ひとりひとりの
砂浜に捨てた問いの
テクストをふたたび
風の音に葬る

#詩

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