冒険者専用ビキニアーマー購入助成金
こんな仕事がしたいんじゃない。
心の中で呟くのも今日4度目だ。俺の手元の「ビキニアーマー助成金申請用紙」には種族、年齢、職業、身長、体重など記載する項目は事細かい。
採用から5年が経過するビキニアーマー助成金制度。トチ狂った貴族が提唱したおかげで、女性冒険者がビキニアーマーを購入する際、その何割かを冒険者ギルドが負担することになった。
防具業界は盛り上がるのは必然だった。付加価値がある高価格のビキニアーマーでも、安価に購入されるのだ。超軽量だが身体全面に不可視の物理障壁を展開する魔術師用ビキニアーマーなどはその代表作だ。この5年で技術革新が進み、俺たち防具職人の仕事と、申請書の手間が爆発的に増えた。
「スリーサイズまで必要なの?」
「正確な数字がないと、ギルドの申請が通らないんです」
筋骨隆々な40過ぎの女性(職業:バーバリアン)に説明しつつ、俺は今日5度目の呪詛を呟いた。
こんな仕事がしたいんじゃない。
【続く】
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