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SNSで目を引く「私の花」。刺繍工場の3代目が服をつくりはじめたわけ。

どうも10YCです。

今回は1/16に配信した10YC Podcast#15の書き起こしを公開。
iCONOLOGY加藤千尋さんをゲストにお招きしての開催です。

10YC Podcast #15 SNSで目を引く「私の花」。刺繍工場の3代目が服をつくりはじめたわけ。

話し手:加藤千尋(iCONOLOGY)、下田将太(10YC)、岡山史興(70seeds


聴きながら読んでもいいし、聴けない人は書き起こしだけ読んでもいいね。
それではどうぞ!

過去の回はこちら >


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下田「はい、今日も10YCポッドキャストを収録していきたいなと思います。パーソナリティは引き続き岡山さんです。よろしくお願いします。」

岡山「よろしくお願いしまーす。」

下田「岡山さん、2021年になりましたけれども。」

岡山「今年もいい年にしたいですね。」

下田「2020年はね、少し難しい年でもあったので。2021年は前向きに、元気にやっていきたいなと思います。」

岡山「そうですね。」

下田「このポッドキャストもね、引き続きやっていくことが決まったので。2021年、みなさんにしっかりいい話を届けていきたいなと思いますね。」

岡山「はい、やってきましょう!」

下田「はい、今日もゲストをお呼びしてお話をしていくというところで、ゲストの紹介です。今日のゲストはiCONOLOGY(イコノロジー)の加藤さんです。よろしくお願いします!」

加藤「よろしくお願いしまーす!」

岡山「よろしくお願いしまーす!iCONOLOGYさんは、10YCさんとどういう関係なんですか?」

下田「10YCと加藤さん…、まあ僕と加藤さんが出会ったのは、確か2018年ぐらいのイベントでね…」

加藤「そうですね。」

下田「僕らがALL YOURSさんとEVERY DENIMさんと、イベントをやらせてもらったときに、来ていただいたんだよね。クラファンを支援をしてくれて。」

岡山「あぁ、アントレンドのやつですか?」

加藤「そうです。アントレンドのクラファンを支援して、『お三方にお会いできる権利』を申し込ませていただいて。東京まで会いに行きました。」


岡山「おー。」

下田「そうそう、それが初対面で。話した記憶があんまりないんだけど。そのときは、まだiCONOLOGYはやっていないもんね?」

加藤「やっていないですね。」

下田「加藤さんは、ユタカ工房さんというお名前で刺繍工場さんをやられているんですけど、そのときは『あ、刺繍工場さんなんだ』ぐらいで、『10YCは、こういうブランドです』みたいな、ちょっと挨拶交わしたぐらい。そのあと、10YCのTシャツに刺繍をするプロジェクトがあったときに『あ、そういえば加藤さんがいたな』みたいな感じで。そこから、10YCに刺繍をお願いされたときは、加藤さんにお願いしているという関係性で今日までやっております。」

加藤「はい、そうですね。」

岡山「iCONOLOGYも刺繍を中心にされてるんですか?それともiCONOLOGYっていうのはまた、もっと違う形でやられてるブランドなんですか?」

加藤「iCONOLOGYはお洋服を企画するところからやっていて、刺繍だけではなくてお洋服のデザインから、パタンナーさんにお願いするパターン起こしなど、服の企画全般をやっています。その中でも刺繍を強みとしていて、私が刺繍のデザインからデータ作成、刺繍加工まで全部やらせていただいてます。」

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岡山「なるほど。いろんな作り手さんと一緒にものづくりを進めていく体制でやってらっしゃる感じなんですかね。」

加藤「そうですね。刺繍のこと以外は、プロフェッショナルが岐阜周辺に集まっているので、割と知り合いづてに聞いたパタンナーさん、縫製工場さん、その道のプロの方にお願いして服を作っているっていう感じですね。」

岡山「じゃあ、刺繍っていう形はひとつ特殊性はあれど、いろんな産地の方々とコラボして商品を作ってる10YCと、少し近しいところもあるわけですね。」

加藤「そうかも、確かに。アパレルで工場さんと直につながってやりとりしているところもあると思うんですけど、メーカーとしてちゃんと工場の人と会って話してひとつのものを作り上げていくのは確かに、同じ作り方かもしれないです。」

岡山「なるほど。なんでiCONOLOGYの立ち上げていこうと思ったのか、ブランドの生い立ちをちょっと聞いてみたいなと思うんですけど、教えてもらってもいいですか。」

加藤「はい。立ち上げたのが約1年半前ぐらい…」

下田「そんなに前なんだ。」

加藤「そうです。企画は2年以上前からなんですけど。単純に、やっぱり刺繍業の厳しさを目の当たりにしていたからっていうのがあって。

私は刺繍工場の3代目になるんですが、大学を卒業してから刺繍工場の手伝いに入ったんですね。当時は自分のところで何かを企画して作ることはなくて、下請けメインの仕事、完全に受け身の体制でした。アパレルって、基本的に波がある業界なので、受け身のままだとその波をもろに受けてしまう、っていうのを肌で感じて。特に、今回のコロナみたいな波が来た時には、すぐに倒れてしまうような状態だなっていうのを感じていたので、何かもうひとつ、刺繍工場を運営していくための柱が必要だなと思って、ブランドを立ち上げるのを思いついたんですよね。

『ブランドを立ち上げるって、そんな大それたことやらなくてもいいじゃない』って周りの人にも結構言われたんですけど。『在庫のリスクとかあるし、大変だよー』みたいなこととか。これまで刺繍屋さんとして営業に行って仕事を取ってくる、みたいなこともきちんとやっていなくて、ずっと受け身だったので『営業とかに出るのもありなんじゃない?』というのも、いろんな方に相談したときに言われました。

けど、それをやると刺繍の仕事の取り合いになる、というか。例えば、じゃあ東京に行ったり、大きい企業さんで仕事取ってきたりって、結局は刺繍屋同士の戦いというか、工賃の戦いになるのが嫌だなぁと思って。既にある需要の取り合いだと思ったので。それなら誰もやってないことをやろう、みたいな感じで。」

岡山「なるほど。」

加藤「刺繍屋さんのブランドは他にもあるんですけど。割と刺繍だけで完結するブランドが多いんですよね。小物やアクセサリー、ワッペンなどを作ってらっしゃる刺繍屋さんが多いんですが、お洋服の企画をされているところはあんまりない、というかゼロだったんです。」

岡山「そうなんですね。それはすごく意外でした。」

加藤「はい(笑)」

下田「洋服のデザインと、プリントや刺繍の加工って別だよね。一緒にまるっとブランドとしてやるのってあんまり多くはないですよね。」

加藤「たぶん、面倒くさいと思います。普通、刺繍屋さんは刺繍のことしか知らないので。アパレルの構造上どうしても、やっぱり『餅は餅屋』みたいな感じで、プリントのプロでもプリント以外は知らないし、縫製工場さんに生地のことを聞いても知らないし。そういう感じで、プロが細分化されている状態になっていて。だから刺繍屋に『じゃあお洋服作って』って言われても、それは畑違いの話になってきたりするんですよね。なので、普通だったら、そんなやったこともない面倒くさいことはやらないってなるんじゃないかなと思うんですけど(笑)」

岡山「なるほど(笑)そうなんですね。下田さんは逆にアパレルの、それこそベース、洋服作りの方のブランドじゃないですか。」

下田「はい。」

岡山「10YCがプリントや刺繍をやっていないのは、やっぱり、そこに特殊技能が必要で、人の好みにもよってくるっていう部分が大きいからっていうのはありますよね。」

下田「そうですね、それが大きいかなぁ。あとはデザインの手間とかも。グラフィック描けないし、ロゴ作れないし、みたいな。そもそもプリントTとかはあんまり自分たちが好きじゃないっていうのもあるんですけど。そういう、ひと手間かかるっていう…。僕は刺繍屋さんの加藤さんにお会いしましたけど、会わなかったらどう作るのかって分からないままだったので。会って話を聞くと『あぁ、そういう風に作ってるんですね』みたいになって距離感縮まってきますけど、やっぱり遠い存在。」

岡山「そう考えると、服を作るプロと組んで刺繍屋さんがブランドを立ち上げるっていうのは、すごく理にかなってるというか。刺繍のこと分かってるからこそ、『この服に会う刺繍は』とか、『この刺繍が会う服は』とか、両方の視点をちゃんと持ってやれるのかなと、今お話しを聞いていて思いました。」

加藤「そうですね、刺繍から逆算して服を考えることは多いかもしれないですね。刺繍をするのは絶対なので、じゃあどこに入れるべきか、どれぐらいの大きさがいいか、などは先に考えています。まず刺繍を作って、それに合わせて服を作るという感じで作っているので。」

岡山「なるほど。」

下田「だからほんとに難しいんですよ。僕ら『刺繍やってー』みたいな感じで言われるんですけど。ダダダダダダって打っていく針数を『何本打つか』みたいなところも、加藤さんは自分で決めていたりするんで。この柄を出すためには何本の針を打つか、どこに打てば綺麗に出るか、みたいなところの設計までやってらっしゃるんで、それがめちゃくちゃ難しいんですよ。」

岡山「なるほど。」

下田「それが、本当にプロじゃないとできないところがある。そういう面で、刺繍のブランドってなかなか出てこないような気もしてるし、数が少ないからこそすごく素晴らしいブランドだなと思いますね。」

岡山「たしかに。僕、オーダースーツを作ったときに、内側に刺繍をちょっと入れるカスタムをしたことがあるんですけど、やっぱり刺繍ってちょっと特別感があるっていうか。人と違うものにしたいときに刺繍を入れて気分上げていく、みたいなことがイメージとしては大きいと思っていたんですけど。でも、よく考えるとスカジャンとかは全部刺繍ですし、ああいうメインで刺繍が活躍するものって意外と身の回りに溢れてるなと思って。そういったところも刺繍が『生活に馴染むんじゃないかな』って今、お話聞いてての気付きでした。

刺繍って、今話したようなワンポイントやメインなどいろいろ使う場面があるなかで、刺繍から考えるブランドとして、世の中一般的に溢れている刺繍とはまたちょっと違うこだわりを持ってブランドを立ち上げていったと思います。そのときに『こう見られたくない』とか、『こういう風に語られていきたいな』とか、そういったことって意識されてたんですか?」

加藤「まず最初に思っていたのは、ブランドとしてちゃんと認知されたいなということ。ファクトリーブランドやハンドメイド作家もの、みたいに見られるのではなく、きちんとアパレルブランドとして確立したいなというのがありました。

そのためには、最初の立ち上げがめちゃくちゃ肝心だなとは思っていて。見せ方であるとか、何を使って立ち上げるかとか。最初はクラウドファンディングだったんですけど、その前の立ち上げていく段階でも、お洋服に素人っぽさが出ないようにしたいな、などはいろいろ考えましたね。

服作るのに関しては、ド素人だったんですよ。今も割と素人の部類なんですけど。それでも、やっぱりたくさんの人に関わってもらって、一発目でいかに『あ、このブランドってきちんとお洋服作ってる』って思ってもらえるか。おままごとで作ってないんだってきちんと出さないと、おそらく『あ、なんかその程度の。お店に並ぶものではないよね』みたいな感じにならないようにしようっていうのは、すごく最初は気を付けていました。

あとは、ずっとお花の刺繍をシリーズでやっているんですけど、まずその刺繍を見てもらうために、もっとも大切なのは刺繍のデザインだと思っていて。どんなに刺繍の技術が素晴らしくても、刺繍の柄が美しくなかったらやっぱり欲しいとは思わないし。それを考えたときに、刺繍自体もパッと見て『きれいだな』って思ってもらえるようなものをと考えていました。SNSが私の一番最初のお客様との接点になるので、パッて写真で撮ったときにまず『きれいだな』って思ってもらえるものをすごく意識して作ってますし、今もそれはそうですね。どアップで撮ってもきれいっていうのをすごい意識して作ってはいます。」

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岡山「なるほど。」

加藤「最初に、何をモチーフにしようかなって考えたときに、自分のパーソナリティをお花に投影している方って結構多いんですね。『今までの人生の中で、私の花はこれ』って。私でいえば、赤いバラのイメージがあるとか。おじいちゃんとの思い出の花がスイセンなんですとか、モクレンなんですとか。人のパーソナルな部分にグッて入り込む何かが、花にはあるんですよ。だから、ただの花柄じゃなくて、きちんと『あ、この花!』って思って、その人の思い出や核となる部分、琴線に触れるような出し方をしたいなと思って。そのために花をいつも一つ決めて、花柄レースじゃなくて、ユリです、スイセンです、アイリスですって感じで出してるんですよね。そうすると、自分事としてお洋服を手に取ってくれる方がすごく多いです。」

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下田「なるほどな。」

岡山「いいですね。花かぁ。面白い。そういう自分事への仕方っていうのがあるんですね。」

加藤「『おばあちゃんとの思い出の花です』とか、メッセージでもよくいただくんです。過去に何かあるんですよね。その花との思い出とか、『この花がすごい好きなんです』とか、アニメのキャラクターのモチーフだったりとかいろいろあるんですけど。

iCONOLOGYという単語は「図像解釈学」のことを指していて、私たちは刺繍を「図像」と捉え、袖をとおす人の思想が映し出されるようなモチーフを選んでいます。モチーフに対して何らかの思い入れを持っていてくださる方が多いので、刺繍に対してもすごい大切に思っていただけるきっかけになってるなと思います。」

岡山「先ほどお話されてた、SNSという最初の接点でしっかり惹きつけていくっていうところからずっとつながってる感じがしますね。すごくいい形で、お客さんの大事にしてるものと、自分の大事にしたいことがつながっていった感じがあるなぁと思いました。今回は、立ち上げ時に大事にされてたことやお花の話を伺ってきたので、次の回では、よりその辺り深く伺っていけたらなと思っています。」

下田「うん、面白いな。」

岡山「はい。」

下田「ということでね、iCONOLOGY加藤さんの回、1回目は以上ということで。2回目にまた、より深く聞いていきます。お二方、引き続きよろしくお願いします。」

加藤「よろしくお願いしまーす!」

岡山「お願いしまーす。ありがとうございまーす!」

下田「ありがとうございました。」

加藤「ありがとうございました!」


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