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フラテルニテ感想

※18禁ゲームのレビューとなります。直接的な表現はありませんが念のため注意喚起しておきます。
※作品のネタバレを含みますのでご注意ください。


完走したときの気分は、評判よりもだいぶ爽快な気分でした。
レビューや動画である程度知っている部分もあったからだとは思いますが、個人的には読み物としてだいぶ満足したと感じています。
プレイのきっかけ、私のルーツなどは感想前夜にあります。

全体的な話

あらすじ

あらすじをすごく簡単に説明すると
主人公の姉が下校中に複数人の男性に性的暴行を加えられたことでふさぎ込んでしまい、今まで通りの生活を送れるように姉の希望する街に移住した主人公一家。
ところが急に不自然に姉が元気になり、気になって主人公が後をつけたら怪しげなクラブで性的な行為に傾倒している姉の姿がーー。
という感じです。

クラブとは

主人公の姉が出入りしているクラブ、正式名称を「誠信明輝塾」というのですが学習塾ではありません。
一応自習室のような感じで何をしてもいい場所、ということになっているのですが、実際は”救い”という名目の性行為に傾倒させて、悪い大人が青い果実を貪り食う場所です。
通っている学生たちは親しみを込めて「友愛クラブ」と呼んでおり、各々の抱える問題を解決するために”救い”を実践しています。
主人公以外のクラブの人間は完全にハマり込んでおり、主人公は何が正常なのか。自分は正しいのか。葛藤しながら、なんとか姉を救出しようとします。
なんなら、クラブの人間全員を解放したいと思っています。

物語として

物語の半分ぐらいは、手探りでなんとかクラブを潰せないか、姉が通うことをやめさせられないかを試行錯誤する話となっています。
ただ、主人公は正義感が強いだけの普通の高校生ですので全くうまくいきません。
すべてをひっくり返す魔法のアイテムや、都合のよいチャンスは訪れず淡々と着実に取り返しのつかない状況になっていきます。
主人公が悩んで考えぬいて起こした行動は、どれもクラブを打ち砕くには到底及びません。
だって普通の高校生だから。
物語として主人公を見守りつつ、結局子どもの考えることだからどうにもならないよねと、あまり主人公に感情移入はせず読み進めました。
やや行きすぎてエゴにも似た正義感を持った主人公はめげずにもがきますので、その強い精神力がこの物語を動かす一つの装置になっています。
(余談ですが私は今『僕のヒーローアカデミア』にハマっているので、主人公のエゴ正義感は好きでした。)
主人公から見た幸せ、クラブに傾倒する側の幸せ。どちらが正しいというのはないんですよね。
救われたと絶命して逝く登場人物たちは幸せそうでしたので、私は本人がいいならそれでいいんじゃないのかなと思ってます。なのでこの点でダメージを負うことはありませんでした。
ちなみに私が作中で一番ハラハラしたのは主人公がクラブでの行為を隠し撮りしようとするシーンでした。
謎の臨場感がありクリックを躊躇いました。

えっちなゲームとして

1人で鑑賞する分にはえっちなシーンは普通に見れるのと、グロシーンについても静止画と文字だけなら大丈夫でしたがスカトロがちょっとキツかったです。イラストに表示しない設定があって助かりました。
これからプレイする『euphoria』もスカトロシーンが多いそうなので、そこが懸念点です。
えっちなゲームはみなとソフトさんの『真剣で私に恋しなさい!』を知り合いに借りてやっただけなので、えっちなゲーム界隈から見ての良さというのは語れません。
ただ、『真剣で私に恋しなさい!』は本当に長くてルートもたくさんあって、更にえっちシーンが長くて途中で飽きてきたので、その点フラテルニテはえっちシーンは長くなかったですし、既読率が出て進捗がわかるのも良かったですね。

登場人物への感想

白坂 美桜(主人公の姉)

主人公が一番気にかけ、ほとんどの行動は姉のために行われます。
正直私、姉キャラがそんなに興味がなく、物語の装置としての良さという感想になってしまいます。
主人公を絶望へ引き込んでいく装置としては、なかなか悪質でよかったのではないかと思います。
あるエンディングでは、園田(クラブの塾長)と友佳(クラブに連れてきてくれた友達)の元へ自らの手で逝くのですが、そのときちょっと安心しました。
一応この人のなかでちゃんと友佳は死んだことになってたんだなと……。
基本的に”クラブのために死ぬのは名誉あること”という偏った思想の持ち主なので、”クラブのため”から離れて自死というのはある意味解放だったんじゃないかなと思います。

白坂 芽生(主人公のまだ幼い妹)

正直この子を巻き込みたくなかったな~~と、芽生が参戦するルートでは非常に後悔しました。
私は2人姉妹の姉でして、姉属性には無関心&妹属性への性愛はちょっとNGなんですよね。
そういう意味で一番キツかったです。

星野 円夏(ヒロインの友達)

訳あってヒロインのことは最後のほうに書こうと思っているので、順番が前後しますが先にこの子のことを書きます。
円夏はハツラツとした元気っ子で、メインヒロインと主人公を恋愛関係にあると思い込んでいらない助言をしてくるなど、物語的にはよくあるおせっかいな女の子です。
序盤からややメインヒロインに「親友だから」「私はあなたのことわかってるから」という面倒ムーブをしていますが、これが悪い方向に進んでクラブに出入りするようになってしまいます。
円夏がメインヒロインに執着する理由は明かされていません。
気になりますが物語的にはあまり重要じゃなさそうですし、たいした理由はなさそうです。
主人公に同級生の女の子が読まなさそうな漫画を貸して「話できる人がいなくてさ~」と言っているところから推測すると、メインヒロインの少し浮世離れして変わっているところを「分かってる」と悦に浸るのがよかったんじゃないかなと思います。
最終的にメインヒロインあんまり関係なく自分の欲望を満たすために無残な方法で死にます。
しょうもなさが人間っぽくて結構好きなキャラクターでした。

菱木 紗英子(主人公たちが通う学校の生徒会長)

学校では完璧な生徒会長、クラブでは最悪淫乱女です。
一般的な同級生より能力が高く、そつなくなんでもこなせるので人生退屈すぎてクラブに通っています。
頭おかしいので黄色かったり茶色かったりするショッキングなプレイを嬉々としてやりますし、あるルートでは薬物中毒になって悲惨な死を迎えます。
とにかく刺激を求めている人物というエピソードが多いのですが、「生物学的には男だけど心は女」の同級生に向ける感情はごく普通の女の子です。
直接的な恋心は描かれていないのでどうかわかりませんが、少なくとも一番近い異性として裏切られた気持ちや嫉妬心は持っていたのかなと思います。
薬物中毒ルートとは別のルートでは、夜の学校で顔見知りの生徒を誘惑するのですが、その時の男子学生の反応が「こんな人だったなんて!」という感じでしたので学校では徹底してきちんとした生徒会長をしていたようです。
普通に生活している人も、裏の顔はわからないといういい例ですね。

戸田 心音(主人公の学校の1年生)

姉を助けることで頭がいっぱいの主人公が、放課後の学校で出会ういじめられっ子です。
主人公はかなりお人よしなので、いじめをどうにかできないか生徒会に相談しますが、出会いから生徒会長との面談まで徹底的になんか話のかみ合わない変な子です。
どうも自分の世界を大事にしているらしく、悲劇のヒロイン的なことを考えているのでなかなかいじめが解決しません。
その後生徒会長がなんか面白そうだとクラブに誘い、そこで性を解放してとんでもなくはっちゃけます。
その結果いじめっ子女子3人までもを救いたいという思想に取りつかれ、嬲り殺されるルートといじめっ子をクラブ的な意味で”救う”ルートがあります。
一貫してどこか上から目線、自分本位なところが目立ち、こういうこと言うのはあんまりよくないですが、いじめられるのもなんか分かるなという子です。「解像度高いな」と変に関心してしまいました。

藤原 奈津美(心音をいじめるグループの1人)

前述した心音をいじめる女子3人のグループの1人です。
リーダは舞子という女の子なのですが、その子については特に思い入れがないので奈津美について書きたいと思います。
リーダーの舞子、舞子の腰巾着の理恵、そして明確に心音に悪意を持って接していた奈津美。
序盤のほうのいじめはかなりノリノリな様子でした。
あるルートの最後で過去を吐露する場面があり、そこで心音をいじめていた理由が分かりますが、私はこのシーンがフラテルニテの中で2番目に好きです。
最初のほうに心音が「なっちゃんとは昔は仲良かった」みたいなことを言っていたので、子どもの頃は家が近かったり親が仲良かったりでなんとなく遊んでたけど、自我が芽生えてきたら趣味嗜好が違ってきて自然と遊ばなくなり、心音だけが子どものまま止まってるということなのかと思ってました。
だいたい合ってそうですが、あれだけ悲惨な目に合わせた理由が「ん~~なるほど~~~」となり、奈津美が結構好きになっちゃいました。
もちろんいじめは駄目ですよ。物語に登場するキャラクターとして、いいなと思ってます。

神村 愛(メインヒロイン)

主人公が街に引っ越して初めて家族で出かけたときに偶然に出会い、目を奪われる薄幸な感じの美少女です。
メインヒロインということと、物語的にも重要な立ち位置なので最後にしました。
愛も例にもれずクラブに通っているのですが、通っている理由ははっきりしません。
「私は覚えが悪いからまだ救いがわからないの」などと言うので、主人公は姉だけではなく愛も救おうと思ってしまうんですが、そもそも愛が全ての元凶です。
主人公が敵意を持っていた園田の実の娘で、園田すらも手駒として扱いクラブを裏で運営していた人物が、仄かに想いを寄せていた女の子でしたというオチ。
あまりにも救いのない設定。
そもそもこの名前が本当に製作側の性格の悪さが出ています。
望まれて産まれず、女として未熟なまま両親に性を金儲けの道具にされ、肉体と尊厳を破壊され、同じぐらいの年の子を騙すことで人並みの生活ができて、愛を知らない女の子に愛なんて名前。
恐らく両親がつけたのだと思いますが、愛なんてもの持ち合わせてなさそうなのによく付けたものだなと思います。
両親は道具としてしか愛を見てませんので、ゲームで名前をテキトー決めるとき「あああ」とするように愛の字をあてがったのでしょうか。どこまでも人の心がない。
個人的には幼少期の話をもう少し見たかったなと思いました。
幼少期は感情がしっかりありそうなので、友達を売って自分を守る手段を見つけた後にどうやって心が凍っていったか見たかったですね。
本編では一貫して冷静な愛が、最終盤に見せた表情はかなりよかったです。あのラストがフラテルニテで一番好きなシーンですね。

救いはあったのか

「救いなんて、ない」というキャッチのある今作ですが、果たして救いは本当になかったのでしょうか。
私的には救いはあるところにはちゃんとあったのかなと思います。
万事解決!守りたいものは全部守れた!とは到底言えませんが、各々が幸せの中事切れて逝くのを救いと言わなければそれこそ救われません。
なにより、メインヒロインの愛は主人公に救われたと思います。
現状打破はできなくとも、監視していく中で主人公の強い精神性に心動かされ、揺さぶられていたはずです。
まあ、主人公の手は取らずに、ありがとうもきちんと言えないまま死んでしまうので正確には救われかけた、ですが。
ただ、愛の置かれた環境を考えると、主人公がタイムトラベルしない限り完全に救われるのは無理だと思うので、最大限のハッピーエンドはあれしかなかったのかなと思いました。
あと主人公にはあの後きちんとなんらかの治療を受けて社会復帰してほしいですね。

最後に

できればもう少し簡潔に書きたかったのですが、思ったより長くなってしまいました。
学生時代はレポート課題を提出するために文章を書いていました。それを考えるとおかしくはないのですが、時が経ってもちゃんと書けるもんなんだなあと自分に関心しています。
そもそも私はレビューや感想といったものは得意ではありませんでした。
アニメや映画は特に、その時思ったことを観ていくうちに忘れてしまいますので書くのが難しかったです。
それに思っていることをアウトプットするところがどこか詰まっているのか、いろいろ考えてたのにいざ書こうと思ってもな~~んも書けないとい感じでしたので、ちゃんと出せたことにちょっとびっくりもしています。
フラテルニテのプレイ中は特にメモはとっていませんでしたが、結構分かりやすいストーリーだったのでなんとか思い出しながら書くことができました。
FANZAのセールではほかに『夏の鎖』『euphoria』『erewhon』を購入しているので、プレイできたら感想を書こうかなと思います。
長くなりましたがここまで読んでくださった方、ありがとうございます。
そしてきっかけを作ってくださったおしりのゲームまとめ様もありがとうございます。

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