舞台「月の獣」

「月の獣」東京公演(2019/12/7〜12/23)

於:紀伊國屋ホール
作:リチャード・カリノスキー
翻訳:浦辺千鶴
演出:栗山民也
出演:眞島秀和、岸井ゆきの、久保酎吉、升水柚希

《ストーリー》※公式サイトより
第一次世界大戦の終戦から3 年が経った1921 年、アメリカ・ミルウォーキー。
生まれ育ったオスマン帝国(現・トルコ)の迫害により家族を失い、一人アメリカへと亡命した青年・アラムは、写真だけで選んだ同じアルメニア人の孤児の少女・セタを妻として自分の元に呼び寄せる。
新たな生活を始めるため、理想の家族を強制するアラム。だが、まだ幼く、心に深い闇を抱えるセタは期待に応えることができなかった・・・。
二人の間に新しい家族ができぬまま年月が経ったある日、彼らの前に孤児の少年が現れる。少年との出会いにより、少しずつ変わっていくアラム。やがて彼が大切に飾る穴の開いた家族写真に対する思いが明らかになっていく。

出演者は4人だけ、4人が4人とも本当に素晴らしく、濃密なお芝居。

入れ込んで見てしまい、息詰まるような苦しい気持ちになるけれど、すべてが昇華するような希望のあるラストには、すべての登場人物がただただ愛おしく、抱きしめたくなる、そんな舞台です。

とりわけ岸井ゆきのさんのセタが圧巻!15歳の可愛い少女が大人の女性になっていく、その変化に目を見張る。物凄い女優さんです。アラムを演じた眞島さん、初舞台(!)だというヴィンセントの升水くん、語り部の久保さん、誰もが本当にその役を生きていて、お芝居だということを忘れてしまいそうになる。これだけバランスのいい座組もなかなかないのでは。

幕が開いてはや1週間、あんなに完成度が高いと思った初日から、それでもお芝居はどんどんこなれて進化して、これからどうなるのかもとても楽しみ。

まだチケットもあるようなので、ぜひたくさんの人に見てほしい。お芝居の素晴らしさがぎゅっと詰まった濃い舞台です。