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ドーナツ屋でのある一日の思い出

 私は今日あの日のことを思い出した。

 友達と2人でドーナツ屋に行った思い出。

 その子をゆきちゃんとしよう。

 ゆきちゃんは可愛い子だった。中学時代の友達だ。ゆきちゃんはこずえちゃんというこれまた可愛い子と仲が良かった。


 ゆきちゃんとこずえちゃんはお互い一番の友達で、その子達と私とあと2人の子、5人で仲良くしていた。

 私はずっと2人を見て、誰かの一番の友達になりたくてとても羨ましかった。

 私はいつもいてもいなくてもいい人間だと思っていた。保育園から小学校低学年までは、親友がいたが、あることをきっかけに私は変わってしまった。

 それ以来、友達には雑に扱われた。

 ある女の子が私や他の友達にプレゼントしたカエルのキーホルダーを、他の友達が遊びに使っているのを見て、私なら返してもらっていいだろうと思われたのか、返してと言われたことがあった。
 その話はそこで終わらず、そんなことがあったのを忘れた頃、その子はボロボロになったキーホルダーを私にくれたのだ。

 私は親以外から誰の一番にもなれない。

 ずっとそう思っていた。だから不登校の友達の世話をして、私だけの一番になってもらおうとした。でも、その子も私のことなんて見ていなかった。私なんて雑に扱われてもいい人間だったのだ。


 ゆきちゃんに話を戻そう。

 ゆきちゃんと、こずえちゃんと私は高校はそれぞれ別になった。

 私は高校で居場所がなかった。こずえちゃんは高校がすごく楽しかったようだ。しかし、ゆきちゃんもあまり楽しくなかったようで、その相談のラインが来た。

 お互い孤独。ということでチェーンのドーナツ屋に行った。

 気まずかった。暗い空気が立ち込めていた。
 何を話していたのか具体的にもう覚えていない。

 ただ、私はその日が高校生活から中にぽっかり浮いた思い出に感じるのだ。

 きのこ帝国の歌詞でひしめき合うという歌詞があるが、その時だけ私とゆきちゃんはひしめき合っていたのではないかと思う。

 ゆきちゃんはその後、高校に馴染めたようで高校にいる間、連絡はなかった。

 私は孤独な中、必死に勉強した。勉強すれば幸せになれると信じていた。

 大学受験が終わった後、高校のクラスメイトとの仲が深まり、私にも居場所がひっそりとできた。

 大学の友達と仲が拗れたり、男友達と絶交されたり、いろいろあった。

 今日、そのドーナツ屋での1日を思い出して、痛々しい青春を愛おしく思った。

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